3.49
5 107件
4 8件
3 4件
2 1件
1 65件
合計 185
読み めいたんていぽわろ
放送局 BSプレミアム
クール 2022年4月期
期間 2022-06-08 ~ 2023-10-18
時間帯 水曜日 21:00
世界が愛した名探偵エルキュール・ポワロ
アガサクリスティ原作の人気シリーズ全70話。
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名前無し

《オリエント急行殺人事件》
パレスチナでは、ポワロの執拗な追及が、中尉をピストル自殺に追い込んだ。「一度の過ちで、支払った代償は不当だと思います。」という同僚の一言が、ポワロの頭にこびりついて離れなかった。これがこれから起こる殺人事件のトラウマになった。

イスタンブールでは、不貞を働いて子を身もごった女が民衆によって制裁を受けた。メアリーは彼女を救おうとしたができなかった。列車内で、「罰を承知で掟を破った」という民衆を擁護するポワロの発言にメアリーは気分が悪くなった。ここでポワロはメアリーの慈愛の心を知ったのだ。

これらの出来事がポワロの裁定に大きく影響した。極悪非道の誘拐殺人犯であるカセッティ(ラチェット)を殺害したメアリーを含む乗客12人と、協力者の車掌をどうするか。追及を緩めなければ、13人がピストル自殺をするかもしれないという恐れ。そして、「カセッティの死は、彼ら彼女らの並々ならぬ苦悩がもたらした罰であり、自分自身もイスタンブールで見て見ぬ振りしたではないか」「善人がやむにやまれず犯す罪はどう裁けばよいのか」という葛藤。これまで罪を憎み続けてきたポワロがくだした結論は、「殺人を見逃す」ということだった。自分の信念を否定し、この判断に至るまでのポワロの苦悶の顔は他の話では見られない。ラスト、ポワロの神業によって許されたメアリーの「まさか……」という表情が涙を誘った。

やはり、この話しはこのドラマシリーズ№1である。

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名前無し

「ホロー荘の殺人」では二代目ワトソンが。
「葬儀を終えて」では「アンという名の少女」でアンを引き取ることを最初渋っていたのに、次第にアンをなくてはならない存在としていつくしむようになるマリラ役の女優さんが登場していた。
どちらも好きなので犯人になってしまったらどうしようとドキドキしながら見ていたがそうはならなくてほっとした。
最近放送のものは新しいので映像はより美しく、登場する俳優たちが最近のドラマ映画で覚えた顔だったりするので話がより分かりやすくなっている。
顔を見せなくなったヘイスティングスとミスレモンの代わりに時々出てくるオリヴァー夫人はサスペンスを書く人。
アガサクリスティ自身を投影したものかは知らないが、大雑把で思い込みも激しいがポワロのことを友人として尊重し、出会えば喜びポワロの事件解決に協力しようとする。
そんな夫人の吹き替えをしている山本陽子さんの吹き替えの自然さに改めて山本さんが好きになった。

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名前無し

「五匹の子豚」
あまり耳馴染みがないが、これほどの傑作はない。見栄えのするオリエント急行殺人事件、地中海殺人事件(白昼の悪魔)、ナイル殺人事件(ナイルに死す)などに引けを取らない。なぜ、有名ではないのか。それは、設定が地味だからだ。過去の冤罪の解決のための聞き取り調査が主で、それらを元にポワロが事件の全貌を頭の中で構築するのに終始するからだ。映画にはなりずらい。でもこのテレビドラマは最高級の出来だった。

夫は毒殺され、妻が夫殺しの犯人として絞首刑にされる。16年後娘が母が無実であること証明してほしいとポワロに依頼する。そして彼は解き明かした。真実は、妹を庇って罪を背負ったのだ。しかし妹は犯人ではなかった。別に犯人がいた。誤認による非業の死だったのだ。娘は真犯人に銃を向ける。それをポワロが制す。ラストはドラマチックであった。涙無くしては観られないエピソードの1つであった。

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名前無し

被害者面した人間が実は真犯人だったという展開は推理ものにはよくある。被害者を上手く演じていて、周りの人や刑事そして視聴者を欺く。この真犯人もそうだったが、多くの犯人達のさらに上を行く演技の巧みさだ。途中までは絶対に犯人とは思えない無類のテクニックだ。でも徐々にボロが出てくる。そのボロも、よ~く聞き耳をたて考えないとスルーしてしまうような小さい違和感だ。ポワロでなければ気づかない。そして真犯人を犯罪解決のための協力者に仕立てる。真犯人は、容疑者から外されたと勘違いし喜んで協力する。この犯人を油断させる手口は「雲をつかむ死」にも表れる。偶然かもしれないが、両方ともポワロの高所恐怖症ネタが盛り込まれているところが面白い。

このドラマを見た後、アニメ版を久しぶりに見た。ニック役は伊東美咲だった。お世辞にも上手いとはいえなかったが、アフレコ風景が想像できて楽しかった。

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名前無し

「ハロウィーンパーティ」
最新の映画でも取り上げられているということに意味を感じ、ハロウィーン当日に見た。
ハローウィンという子供たちにとってのお楽しみの時間にゲームを楽しんでいた子供が殺されるという闇を感じる話。
静かな田舎町にも異常性格者が現れ、犯行に及んだとされ警察もその線で捜査を進めるが浮上しない容疑者。
そりゃそうだ。犯人はパーティに仮装で現れたのではない、
善人の仮面をかぶって長年自分の物欲と愛慾のために手を汚してきた人物だからだ。
オオカミ少年のごとくにウソをつき、作り話で自分に注目を集めることを常としていた少女。
その少女が殺人を目撃していたことを吹聴したパーティで彼女は殺された。
その殺人は誰が誰を殺したものか。
現場に居合わせたオリバー夫人に助けを求められたポワロは現存する魔女の様な老女から過去の殺人を聞き出す。
わかっているだけで3件の不審死と一人の女性の失踪。
調べていくうちに村にある静かな沼のごとく、底知れぬ憎しみがこの村に不穏な空気を生み出していたことにポワロは気づくのだ。
アガサ作品ではよくあることだが殺人事件の犯人を追ううちにそこに関わる人たちの知られたくない過去や憎悪秘めた愛情がぽっかりと浮かび上がってしまう。
それを恐れた人たちはみな怪しく見える。そのために真犯人をあげるのに手間取るのだ。
結局長年の悪事を暴かれたのは
ハローウィンパーティを取り仕切った館の女主人。
居丈高で二人のわが子にも支配的な決して好ましい人物ではないが、裏の顔はもっと恐ろしかった。
愛人と共謀して旦那とそのおばを殺し、膨大な遺産も手に入れた。
自分に愛をささやいていた若い園芸家は金のために近づき彼女に協力していたことがばらされ、半狂乱になるが自業自得。
だが許しがたい大人はこの女主人だけではなく、若い園芸家は秘密にされていたわが子を保身のために殺害せんとしたし、ハローウィンにわが子を殺されて悲しむはずの母親は血のつながらないこの死を「神の御意志」で片づけようとする。
この母親は熱心なキリスト教徒だが、女性を愛した女教師はこの母親によって断罪され、教師の」職を追われて自殺する。
そのことに何の痛みも感じていない、神のしもべの母親が不気味。手は下してはいない結果的な殺人であるというのに。
女教師は自殺であったが、あとの二つの殺人は館の女主人と園芸家の手によるもの。
そして書類を偽造し女主人から莫大な遺産を盗み取ろうとした罪を問われていた外国人のメイドは彼らの悪事に気づいたがゆえに殺されて園芸家自慢の庭の土に埋められていた。
彼女をメイドとしてあっせんした教会の牧師は加担こそしていないが、自分が世話した女性のことをどれだけ気遣っていたのか疑問が残る。
大人たちは勝手だ。子供には純真でウソがなく大人がしてやったことを単純に喜ぶ子供をよい子と呼び愛する。
けれど大人のウソや秘密を知ってしまいそれを口にする子は大嫌い。
豪華な館で盛大なハローウィンパーティを開いた女主人も愛人と共謀し夫を含め、5人もの身近な人間を無残にも殺してきた悪事とのバランスを取るように子供たちを喜ばすためのハローウィンパーティを開いてきたのだろう。
ポワロは言う「ハローウインはろうそくを灯して死者を弔う季節なのです」
昨年起きた痛ましい事故の記憶が残る今、他人ごとと思わず、犠牲者を弔い二度と楽しいはずの祭りを悲しい記憶に変えないように。大人たちが心することを願う。
そして本当に子どもたちを楽しませるためのハロウィーンを共に過ごした大人たちよお疲れさまでした。

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名前無し

「死者のあやまち」

オリバー夫人の「ヘルプ」に急いで駆けつけるポワロ氏。
こういうところが女性の心をつかむんだろうな。
富豪の館に招かれて殺人ゲームの筋書きを描くことを依頼されたオリバー夫人はそこに潜む不穏な空気を感じ取り、本当に殺人が行われるかもしれぬと危んでポワロに助けをこうたのだ。
彼女はミステリー作家だが自分の限界をわかっている。
一方事件において真実を言い当てるほどではなくとも本質を見抜く夫人の能力を買っているポワロは「殺人を止めてほしい」という彼女に協力を約束し、動き出す。
だが起きてしまった殺人。広大な土地と屋敷を手に入れた富豪主催の盛大な祭りの陰でおこなわれた殺人。しかも少女が殺されてしまう。死体役の少女が。オリバー夫人とポワロは防ぎきれなかった殺しと失った若い命への深い後悔と自責の念に犯人探しを始めるが、入り組んだ謎に紛糾し、富豪の妻の失踪が重なり、富豪の妻が「悪人」と名指ししたいとこの登場で彼が少女と妻を殺した罪で投獄される。
驚くのは最初の殺人の直後の富豪の妻の失踪と遺品の発見で妻は殺されたものとみなされ、やすやすと妻のいとこが犯人とされてしまうこと。まだ妻の死体も発見されていないのに。
ポワロがいなければ、富豪の妻のいとこは陪審員の判断で殺人犯にされていただろうという恐ろしさ。
ところが、ポワロは関係者からの聞き取りの中のほんの小さな矛盾点から真実を導き出す。
最も可能性の低そうな人物がすべてを仕組んでいたのだが、その人物の一言がポワロに気づかせたのだ。
警察だけに捜査を任せていれば、無実の人間が絞首台に上がりその人物は自らが必死で守ってきた一族の名誉と財産を取り戻し、根っからの悪人ではないので多少の心の痛みは抱えてはいても、見事な屋敷と庭を守りながら余生を暮らしただろう。
悪魔の誘いを受け入れてしまったのだから。
その悪魔を産んだのはほかならぬ彼女。そのことにずっと苦しんできたがゆえに産んだ悪魔を亡きものにした。形の上だけ。でも悪魔が消えていなかったからこそ起きた罪なき少女とその祖父殺し。
二人さえいなければ完璧になったであろう偽りの暮らし。
でも偽りは破綻した。
その始末をまるきり見当違いの犯人をあげるような警察に託す前に悪魔を産んでしまった彼女に託したポワロ。そして彼女は実行した。
ポワロの姿勢はずっとぶれていない。
時に間違いを犯す人の作る法律よりも神の裁きにゆだねたように見えた。

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名前無し

「死との約束」
「埃っぽい中東かアフリカの街中で灼熱の太陽に焼かれ気を失う女性。
この熱射病の描写が他人ごとではなく実感できるようになってしまった熱波にあえぐ私たち。
この作品は遺跡発掘見学に一人で参加したポワロが遭遇する殺人事件が題材なのだが、ドラマを見る私たちもポワロのように異国の地を旅し、遺跡調査のリアルを体験できるような作りになっている。最初は小さかった地面の穴がさらさらと音を立て地面が陥没することで地下に巨大な空間が現れる。
遺跡発見の瞬間を味わえる描写なのだが、これは封印された過去が突然目の前に現れる不思議を象徴しているようだ。
今の日本でもずっと封印され続けてきた児童虐待が表面化してその事実を突きつけられて私たちがまだどうすべきか考える段階なのだが、アガサも単にモチーフとして児童虐待を選んではいないと思う。
財産が唸るような金持ちの養子になった子供たちが幸運どころか虐待によって不幸な幼年時代を過ごし成長してからも養親の支配下で苦しむ話であり、引き取った養子たちを苦しめた女性を殺した人物は原作と同じではあるが、その動機は大きく異なっている。
実際このドラマは原作に忠実ではなく老朽化した名建築を解体して
そのデティールを生かしながら、新しい名建築を作り上げたような作品なのだ。
クリスティは財産家や名家の当主が大変独善的であり、仕える人々のみならず一族の皆を支配し、苦しめている姿を何度も描いてきた。
「ポワロのクリスマス」などで描かれたそのような人物は独裁者のごとく残酷にふるまうために恨みを買い消される筋書きだが、この死との約束の女当主は経済界を牛耳る本当の大物であり、養子を何人も育てる篤志家でありながらの裏の顔は恐ろしく歪んでいる。
アガサが彼女を選び作品中で殺させたことは見逃せないし、アガサの造り上げた名建築を再構築したこのドラマもとても見ごたえのある作品になっている。
本当に今見るべきドラマだ。
秋風の吹かぬうちに見ることをお勧めする。
人の噂も七十五日というが、七十五日ではとても流せない大罪を前にしては、存在は噂されていたけれど誰も掘り起こさなかった負の遺産を前にした私たちは幼い子供たちの心の傷を大人なりに想像しなければならない。
だって私たちだってかつては子供だったのだから。
大人に助けてもらえなかった子供たちの嘆きをもう大人になってしまってから聞く遅きに失したものでも、今しなくてはならないことを考える助けになるポワロの作品のように見た

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名前無し

「アクロイド殺し」
この作品はとても重要な位置にあると思う。
最終的に判明する犯人の意外性だけでなく、アガサ最後の作品「カーテン」に通じる要素があるからだ。
冒頭からポワロの声で読み上げられるこ一冊の手書きの手記を書いたのは誰なのか明かされないままに物語が始まる。
舞台は田舎町に移り、物語の冒頭ポワロは何者かに向かって暴言を吐く男として登場し、「殺してやる」だか「こうしてやる」という言葉とともにポワロを訪ねてきたこの街の医師と執事の足元に冬瓜を投げつける。
その姿は探偵の仕事を引退し、田舎に癒しを求めて移り住み長年して見たかったガーデニング三昧のポワロの生活が実は癒しとは遠いところにあることを暗示している。
そして彼は憧れの悠々自適生活にうんざりし始めていることを医師と執事に正直に告白するのだ。
事件はアクロイドというこの街一番の成功者でありポワロの古くからの友人アクロイドが残忍に殺されることで始まるのだが、話の展開は原作と少し違っていて、ポワロは生前のアクロイドから相談を受けており、彼の身の安全を危んで心配し、ついて会いに行ったところで彼の殺害を知るという原作とは違った展開になっている。
原作では殺人事件が起きてからその解決をアクロイドの親族から依頼される形だからだ。
ドラマ版の方がポワロの憂いは深く「友達を助けることができなかった」と同じくアクロイドの友人の医師の前で深く嘆くセリフがある。
これは最後の作品「カーテン」で長年の友人ヘイスティングスに迫る危険に立ち向かうポワロの姿につながっているように思えるのだ。
友人ヘイスティングスは登場せず、ポワロの話の中で大事な友人でありいつも行動を共にしてきた相棒として紹介されるのみ。
そのかわりドラマではジャップ刑事がポワロの相棒として活躍するために登場し、偶然出会ったした二人は心から再会を喜んでいる。
その様子からもポワロはたくさんの事件をに負われて忙しかった日々が遠くなった寂しさはヘイスティングスやジャップ警部のような相棒と共にしてきた仕事から離れてしまった寂しさでもあることがわかる。
原作ではジャップ警部もヘイスティングスも話題に上るだけなのだが、そのかわりに最初に冬瓜を足元に投げつけられた医師がポワロの相棒として事件解決に乗り出すのだ。
この医師は殺されたアクロイドとは長年の友人関係であり、心許しているからこそプライベートな相談もしてきた。
こちらが信頼し相手を好ましく思っていたのと同じようにアクロイドは医師も自分に対してそうであろうと思っていたのだが、友人の実態は違っていた。
それどころ重大な秘密をつかんでおり、それをネタにアクロイドと秘密の男女関係にある人物を長年ゆすっていて、それが暴かれた時に事件が起きた。
死を迎えるまで気づかなかったアクロイド氏はかなり気の毒。
手記に書かれポワロによって読み上げられるアクロイド氏の人となりは「彼の営む化学工場は牧歌的な田舎町に自然破壊をもたらし、経営者らしく吝嗇であり独善的なので家族には疎まれていた」などの批判的内容が続いていてアクロイド氏が周りから疎まれて殺されても仕方ないような人物として手記では書かれている。
でもこれは手記の作者から見たアクロイド氏。。。
ポワロが事件を止められなかった失敗を嘆き、真犯人を暴くため、尽力するのはアクロイドが大切な友人であったからこそ。
その点で犯人らしい人物による手記に書かれたアクロイド氏の人となりとはズレが来ていることに気づくようになり、手記の作者が犯人でありアクロイド氏を意図的に悪く印象付けていることに気づかされた。
そしてついに登場する手記はドラマでは医師の妹が偶然見つけることで兄の犯行に気づいてしまう。
だが、原作に出てくる姉は医師の自殺によって終わる事件の真相と手記の存在は知らされずに終わる。
ポワロの恩情によって。

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名前無し

イギリスの田園風景を闊歩するポワロ
これもまた魅力的。

熊倉さんはもちろんですが、
他のキャストでは山本陽子さんの
吹き替えが大好きです。

味わい深くて集中して観てしまい
目が冴えたのかなかなか寝付けず(笑)

たまには悪くない。

いい加減そろそろBOXを買おうか検討せねば。

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名前無し

《ナイルに死す》
「恋は盲目」という。恋は時として男女の理性や常識を奪う。まさにこの物語の2人の主役に当てはまる言葉だ。愛を保持するために犯罪に手を染めた。仲違いを偽装して人々を欺き殺人を犯し、狙った財産を獲得する計画をたてたのだ。そういえば「スタイルズ荘の怪事件」もそうだった。この手の内容はクリスティの得意技であることは間違いない。

雷鳴鳴り響く嵐の夜、「DEATH ON THE NILE」という徐々に大きくなるスーパーインポーズを観て、昔の人形劇《THUNDERBIRDS》のオープニングが思い出された。両方ともイギリスのITV制作。この制作者さんたち「内心意識したのかな」と勘ぐった。そしてこの夜の男女の営みにおける会話が、まさしくこの事件の動機であったとは、この時点では想像もつかない。2人して大勢を騙す奇想天外な大芝居の幕開けに相応しい冒頭部であった。

富豪リネットは美貌の持ち主だが言葉に棘がある。若さゆえか噂話に余念が無い。ここで出てくる彼女の真珠のネックレスが後のミスリード要因になった。そしてジャクリーンと失業中のサイモンが訪ねきて、リネットに逆ハニートラップを仕掛ける。サイモンの容姿も魅力的だ。それを利用した罠だった。而してリネットはサイモンに一目惚れ。犯罪者たちの目論見通りに物事が進む。物語の全貌を知らなければこのリネットが犠牲者になるとは想いもしない。そしてメイドも…

3ヶ月後のエジプト、ナイル川のほとり。ここはジャクリーンがサイモンとのハネムーンで訪ねたかった場所だ。ホテルのラウンジに、ナイル川クルーズ船に乗船する多くのキャストが登場する。これらの人物達はいわゆる脇役。それぞれの思惑で話しをしている。彼ら彼女らのうち誰が犯人でしょうか?という匂わせ方は、クリスティのいつも通りのトリックだ。リネットとサイモンが階段から腕を組みながら下りてくる。「ん?どうしたのよ?」と、頭が追いつかない。しかし観ていくうちに、リネットとサイモンができあがっていて、ジャクリーンが嫌がらせをしている構図がわかってくる。映像にない3ヶ月の出来事は、想像してくださいという構成はうまかった。ジャクリーンはポワロも欺く。彼女は真に迫る大女優だ。「誰か見ていた」という大嘘をついて立ち去る。サイモンもポアロと接して、ジャクリーンを貶める。これも企みの一つ。でも、ポワロを巻き込んだことが身を滅ぼす嵌めになろうとは、このときの彼らには思いも寄らない。

クルーズ船に乗ってからも、多くの人物の言動やいろいろな出来事が入り乱れる。どれが犯罪に関係する事柄かわからない。石像が頭上から落ちたときにジャクリーンは上にはいなかった。これもジャクリーンは犯人ではないというミスリードだった。ジャクリーンはサイモンの足を撃った。撃たれた直後のサイモンと、みんなが出て行って医師が呼ばれて来たときのサイモンとでは、様子が違っていた。明らかに後の方が痛がっているのがわかる。川の中から見つかった穴の開いた肩掛けと合わせて「これで犯罪トリックが見破れるかな」という制作者側の問いかけがあるような気がした。

ポワロは状況証拠や聞き取りで犯罪の全貌を組み立てる。そして突き止めた。流石だ。ポワロはジャクリーンがもう一つのピストルを保持していたのを知っていた。今回の犯罪者にふさわしい最期を与えたのだ。普通人殺しにピストルを持たせておくことはタブーだ。誰を道連れにするかわからない。しかしこの2人は愛の深さ故、それをやらないと踏んだ。人を見る目に長けたポワロの真骨頂だと思った。

このクルーズの中では、散った愛があり、生まれた愛もあった。悲惨な出来事の中での愛の構築に心が安らいだ。

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名前無し

素晴らしい書き込みが時々見受けられ、
感動しています。
今回の『ナイルに死す』は初めてまともに観たのですが、
全編に漂う哀愁に心を奪われました。
寓話的な演出にもはっとさせられ、余韻が深い。
『5匹の子豚』も好きだったけれども、
これもとても好きです。

切なくて泣きそうになる
『チョコレートの箱』はこれから放送かな…

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名前無し

衣食住ちゃんと描いているこのドラマ。
衣食住にこだわりが強いポワロ氏を描いているからこそ。
ポワロとミスレモンジャップ警部それぞれの自慢料理は他の二人には受け入れがたいという滑稽さ。
でもそれは節度と礼儀を以て尊重しようとした結果のずれだと思えば皮肉な笑いも受け入れられる。
描かれた時代の豊かさは隅々にまではいきわたってはいなくても、他国への渡航の自由さや学生のそれなりの豊かな暮らしに表れている。
その豊かさを再現するために予算をつぎ込んだであろう仕立て屋のシーンなどでも当時のモードの華やかさが感じられる。
結果的には陰鬱な結末を迎える話だけれど、当時の風俗の再現は興味深いしポワロとミスレモンとジャップ警部の関係性がじんわりと温かくてバランスが取れた仕上がり。

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名前無し

「エンドハウスの怪事件」
海辺のリゾートで出会った魅力的な若い女性。
ホームズとは女性に対する態度はかなり違うポワロ。
一目で彼女に魅せられたポワロは紳士的に彼女に好意を示す中で、彼女が現在危険にさらされていることを察し、彼女を守ることを誓う。
最近は若き独りものヘイスティングスに女性とのお付き合い指南をしているくらい女性に対する接し方に自信ありげなポワロは何回も命を狙われているらしい彼女を守るという使命で生き生きし始めるのだ。
このヒロインがとても魅力的な女優さんで一度見たら忘れられないお顔。
「ポリーウォーカー」という女優さん。
デビューの頃のソフィアローレンのように情熱的な瞳と眉。
スレンダーなスタイルで1930年代ファッションを次々と着かえて登場する。
この「エンドハウスの怪事件」はスペシャルゆえか、シチュエーションも登場する建築物も外観だけでなく内装も実に豪華なうえにファッションがまた素晴らしい。
ヒロインの若い娘らしい大胆なデザインのファッションも見どころだが、友人女性の大人の女性らしい着こなしも目を引く。
実際この友人女性の役割も重要なので頻繁に出てくるたびに衣装に気をを取られてしまうほど。
ヒロインの周辺には男性の友人や弁護士など大勢出てくるし、人間関係も複雑なのでじっくり見ていないとわからなくなる物語だが、
ときどきラジオから流れてくる「シートン」という名の冒険家の冒険飛行のニュースがこの事件に大きくかかわっているところなど、とても凝っている。
タイトルにもあるエンドハウスもポワロたちが滞在するマジェスティックスという名のホテルも今も実在するそうでその外観と言い内装と言い、歴史的建造物が豊富に残るイギリスがうらやましくなる。
サスペンスでは殺人動機が大切なのだが、莫大な財産や恋する相手の心を熱望するするだけでなく、優れた建築を手に入れたいという欲望も殺人動機にはなりうると気づいた。
マイブームで名建築に魅せられている身としては、異性の心よりも美しい建築を愛する方が自然にさえ思えてきたが、おかしなことだろうか?

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名前無し

とうとう終わってしまったか…。
最終回のカーテン。大まかなあらすじは知っていたが詳しいストーリーは知らなかったので、見れて満足。
正真正銘ポワロ最後の事件だった。

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名前無し

ヘイスティングスとミス・レモン、ジャップ警部が出て来るのがやっぱりおもしろい。

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名前無し

ケネス・ブラナーはから騒ぎやハムレット 恋の骨折り損など結構観ている。演出監督もする鬼才だが、
私はこのドラマのポワロの普通のオジサンぽくて 特異な風貌のスーシェが気に入っている。
小さな頃は外国の俳優は日本語話せると思ってた。
吹き替えも相まって独特なポワロ像だと思う。

録画機能壊れたままなので水曜仕事をなるべく休みにしてる。

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名前無し

むしろこのポワロがドハマりすぎて、他の俳優さんが演じたポワロは受け付けないです。

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名前無し

結末を知っていて見た今回。
屋根裏部屋で愛を交わす男女と最後のシーンがつながっていることに気づいた。
無数のろうそくで飾られた部屋での愛の暮らしは「どうしてこんなにろうそくが?」と思ってしまったけれど、最後まで見るとこの世では続かなかった二人の愛の暮らしの続きなのかなと思うくらい幻想的。

今回はどうも冒頭の男女が王林ちゃんと山本耕史さんに見えて。
山本耕史を彼女から奪う大富豪だけれど皆からは嫉妬と憎悪の目を向けられている気の毒な美女が沢尻エリカさんに見えてしょうがなかった。
アルコール中毒の落ち目女流作家の母を気丈に支えるクレオパトラ風のメイクの女性は国生さゆりさんに見えてしまったし。
何回も見ていると頭の中で日本のサスペンスにところどころ置き換られてしまう。
吹き替えのうまさゆえかもしれないが。
ナイルに暮らす人たちよりはずっと豊かな登場人物たちは優雅に暮らしているようにふるまっているけれど、ふとデッキに出て川の流れを見ていると正直に心の内をさらけ出してしまうものらしい。
ふとしたセリフに哀愁があった。
それはポワロさんも例外ではなかった。
言葉も通じない異郷の地での旅や見慣れぬ風景のなかの方が自分を見つめる機会があるということかもしれない。

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名前無し

このスレを初めて読んだ。
自分は原作ファンで、このドラマシリーズは前に見たことがあるけれど、今現在リアル視聴してないので細かい部分は覚えてない。

その上で、ポワロのイメージについての投稿が結構あったので、その部分のみ、自分の感想を書いてみたくなった。
原作を読んでイメージしていた限りでは、ポワロは一言で言うと、メンドクサイ奴、というイメージだった。
身長が低いことと(原作では、小男と表現)、ベルギー人であることで、周囲からあまり尊重されないという僻みみたいなものを常に持っていて、そのくせプライドが高くて、拘りも強くて、一緒にいるヘイスティングスはいつも気を遣わなきゃならなくて大変な人。
あまり容姿も良くなくて、ブツクサ文句ばかり言っている。
勿論、洞察力や観察力、推理力には長けていて、頭が良くて、名探偵ではあるんだけど、気取り屋なところは滑稽にも見える人物。
それが、自分のポワロのイメージ。

だから、このドラマシリーズのポワロを見たとき、こんなにちゃんとした…今風の言葉で言えばイケオジ的な探偵であることに、少し違和感があったくらい。
『名探偵』と言うと、どうしてもスーパーヒーロー的な感じをイメージしてしまうけれど、ポワロはスーパーヒーローというより、陰険なオヤジ(「灰色の脳細胞」は、本人がよく言う言葉)というイメージだったので、自分には、このドラマシリーズのポワロは、少しイケメン過ぎだった。

でもそれは、原作を読んで感じていた自分なりのイメージ。
違うイメージを持っている人もいるだろうし、原作を知らない人は、また違うのだろう。
自分にとっては、可愛らしい位に愛すべきところがある、気取り屋で陰険で曲者のオヤジだったエルキュール・ポワロが、ちゃんとした紳士として登場したことで、ポワロに対する認識が変化してしまったドラマシリーズだった。

その意味で、映像の力の凄さを感じた作品。
原作を読んでいたときのイメージは、脆くも崩れた。
今となっては、このドラマシリーズのポワロしか頭に浮かばない。

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名前無し

「ゴルフ場殺人事件」
やはりなんと言っても、ヘイスティングスの恋愛が描かれているのが興味深い。魅力的なアルゼンチン人の歌い手との馴れ初め、デート、ポワロの仲介、そしてラストのキスシーンは叙情的でとても感慨深かった。ドラマ内では描かれていないが、この後、2人は結婚する。なんか時間の大部分を裂いた複雑怪奇な殺人事件がかすんでしまった。

これは、ポワロシリーズの初期作品。放送順が入れ替わっている。だからポワロもヘイスティングスも若い。ABC殺人事件の冒頭では、ヘイスティングスは剥製ワニを土産にアルゼンチンから戻ってきた。妻の母国に行っていたのだ。この頃には、すでに結婚していたわけだ。

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43話ヒッコリー・ロードの殺人

ある学生寮で起こる盗難事件その裏では盗まれたリュックに隠された
ダイヤ密輸につながりそれに絡む二人の殺人事件が起こる。犯人は学生寮のいた。
複雑に絡みあう謎を解き明かしてゆくポワロの推理力が素晴らしく事件の
謎がすべて解決した後が爽快です。

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名前無し

どうしてピーター・ウェラーが出て来るのか理解に苦しみますけど、本当にドラマ見て書いてますか?。ポワロは自己主張はしませんがベルギー人である事に誇りを持ってて、髭の形のカットにも拘りが有って、恰幅の良い体軀から灰色の脳細胞を駆使するからポワロなのです。あの髭やスーツが似合わないシュッとした俳優さんには務まりません。
デビッド・スーシェさんや映画のピーター・ユスチノフさんはそうしたガタイの良さにエレガントさやユーモア、そして信念の強さが有ります。

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今回の愛国殺人にしても、登場人物が多くしかもその関係性が複雑。日本だと、2時間ドラマの2夜連続くらいでやらないと理解しきれないかもしれない。でも、富と名声を得るために人としての大事なものをメフィストフェレスに売り渡したかのような犯人。シェークスピアの悲劇みたいだった。昔の仲良しだった少女時代を偲ばせる映像を繰り返し、2人が舞台女優を目指したエピソードを入れて、見ているこちらを引きずり込んでいく。その心理や行動を冷徹に読み解いていったポワロ。まさにポワロがジャップ警部に言ったように、ノンノンムッシュ ポワロは小物ではありませんという言葉に、100%頷けた。

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名前無し

マースドン荘の悲劇。
美しくヘイスティングスのみならず出てきた男性のほとんどを魅了した女性。
胃潰瘍の手術後の夫を気遣うふりをした彼女。
ところが実際には夫の口に銃口を当てて気づいた夫のまなざしにもめげず引き金を引きズドン。
医師の忠告には忠実ではなかったけれど、少しずつ回復していた夫を財産目当てに殺した彼女はこのポワロシリーズの中でもかなりの悪に見えた。
あれだけの美貌と知恵を持ち財産家の妻に収まりなおかつ別の紳士から思いを寄せられるほどの彼女なのになぜこんなに金に目がくらんだのかぞの疑問は後を引いたが、一つ思い当たらるのは当時のイギリスに忍び寄っていた戦争の影だと思う。
第一次大戦で敵国ドイツにより使用された毒ガスから身を守るために人々は施設に集まりガスマスクを着けて国民防衛の日を過ごしていた。
集会所に集まった住民が一斉にガスマスクをつけたその姿の不気味さ。
一次大戦の記憶が消えないうちに戦争の影が差している。
明らかに平和が遠のいた人々の暮らし。
そんな中で彼女はお金しか頼るものがなかったのだろうか?
身よりは?友人は支えは?そういったものがない圧倒的な孤独が彼女を鬼のような所業に駆り立てた。
もっと平和な時代ならもっと別の生き方があったかもしれない彼女の最後のまなざしが記憶に残った。

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名前無し

「コーンウォールの毒殺事件」
コーンウォールの歯科医の奥様は若い歯科助手と浮気をしている夫が自分を毒殺しようとしているとポワロに相談に来ていたのだが、ほどなくして本当に殺されてしまう。
殺したのは夫とされ逮捕されるのだが、ポワロは夫は無実として処刑台から彼を救わんとする。
歯科医の妻は浮気の結果自分を邪魔もの扱いする夫を生前なじっていたが、最愛の夫が自分を殺そうとしているという悲しみは感じられなかった。
ただただ自分に危害を加えようとしている男にしか見えていないかのよう。
妻の毒殺後裁判でも弁明しない歯科医の夫。
殺された妻に「黄色いあばずれ」と罵られていた歯科助手は、美しい娘で歯科医の冤罪を信じ訴えるあばずれとは程遠い純真な女性だ。
結局は歯科医の妻の財産を狙って妻の姪に近づき、姪のところに遺産が入るように歯科医の妻を殺してその罪を歯科医の夫になすりついえた人物の所業が明らかになるのだが。
歯科医の妻がこの卑劣な男が色仕掛けで近づき、夫が彼女の命を狙っているというウソを信じ込んだことが始まりであった。
彼女を殺したのは夫ではなかったが、彼女が心を預け愛した男性だったということが悲しい。
彼女は何処で間違えたのか、もともと歯科医の夫を愛していなかったのか。
やってもいない妻殺しの釈明すらしない受け身の夫を最初から物足りないと思い、彼女を口説く口のうまい男に騙されてしまったのだろうかそう思うととても悲しい。
50を過ぎた彼女の魅力が財産だけだったとは。
こんな話を書くアガサは結構意地悪とも思えてくるが、見方を変えれば大切なものを見失いがちないい歳したの女への厳しい警告なのだろうか?

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名前無し

またいつか再放送お願いします。

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名前無し

いつでも何度でも見たい作品です。
ありがとうございました。

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名前無し

カーテン、原作のイメージを壊さずに出来ていて良かった~
全作のBlu-rayが出てたら買ってみたい気になった。
原作本でも良いかなぁ
ポアロの話好きなんですがミスマープルは全然受け付けない。
食わず嫌いに近いです。
じっくり1話でも観てみたら面白いんでしょうかね~

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名前無し

寂しくなるわぁ

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名前無し

面白くないのに最終話まで見ちゃうなんて、ポワロに夢中だね!

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