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- 感想とレビュー
- 番組情報
テレビ局にはゲイしかいないのか?
なんとなく見て井上祐貴かと思ったら
伊藤健太郎だった。
広告代理店でプランナーとして働く春日佑馬(伊藤健太郎)と、元料理人で佑馬の家で居候している長谷川樹(寛一郎)のゲイカップル。
SNS上で注目された2人を密着取材していた若手ディレクターの茅野志穂(鳴海唯)だったのだが…。
ゲイをカミングアウトしていた浅原ナオトさんの遺作小説を基に、ドキュメンタリー風に仕上げたドラマ。
真面目に、真摯に向き合って制作されている点は好印象。
性的マイノリティーの立場からの発信をしたい佑馬と、そこまでの事は考えていない、多分居場所が欲しかっただけであろう樹の表情から、同床異夢の匂いがこぼれてくる。
密着取材ともなれば、2人に関わった人たちへのインタビューも使われることになるのだが、そこには本音と建て前が見え隠れしていて、”よく思われたい病”がちらほら。佑馬の両親(戸田昌弘・堀井美香)なんかはその典型的な例。
本人たちにとってはごく普通の生活が奇異の目で見られる世の中で、どう折り合いをつけるか。
そして志穂はどんな映像作品に仕上げるのか(最終的にオンエアーできるのか)。実に悩ましい。
このドラマの原作を書いた人、浅原ナオトの名前の横に『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』という作品名が公式HPに書いてありました。
『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』は、『腐女子、うっかりゲイに告る』というタイトルで、NHKのよるドラ枠で放送されていたドラマの原作小説。
あのドラマの原作者が書いた本なら、内容に期待が持てます。(このドラマはまだ見てないですが)
『腐女子、うっかりゲイに告る』は、色々なことを考えさせるような良作。
NHKオンデマンドで全8話を配信してるので、もし事情が許せば。宜しければ。
個人的には、谷原章介が演じた役が凄く印象的。
谷原章介の役は、ゲイでありながら世間を気にして女性と結婚し、家庭を持ち、タイトルに出てくるゲイの高校生とも関係を持ち、自分のことを「ストレートでもゲイでもない卑怯な存在」として、コウモリに例えます。
ゲイに対する世間の目が谷原章介をコウモリにしてしまう。
周りからの偏見や侮蔑言葉に耐えきれず、校舎から飛び降りるゲイの高校生。
実際にも起きているようなエピで、考えさせられます。
ドラマの後味は悪くなく、同級生の腐女子とゲイとの交流が暖かく描かれているので、オンデマンドでしか見られないようですが、宜しければ、このドラマと合わせて是非。
因みに、原作小説を書いた浅原ナオト氏は、悪性リンパ腫の為、38歳の若さで早世しています。
このドラマ、いいかも!
実は1話、物凄~くつまらなかった。
原作者の浅原ナオトさんがゲイで、ゲイの当事者の人が書いた話ってどんな感じ?と、そこに興味があったので、つまらなかったけど、どうにか見た。
1話は、劇中のディレクター?女性が撮った、ドキュメンタリー映像が9.9割で、いかにもなお利口ドキュメンタリー映像が退屈で退屈で仕方なかった。
ただ、1話のラストに意外な映像が流れて、ちょっと興味がわいたくらい。
これ、ドラマとしてはつまらないなぁ…というのが正直な感想。
で、2話は少しドラマっぽくなってきたので、1話よりはマシだけど…と思いながらも、まだ面白いとは思えなかった。
竹中直人さんの演技に助けられて2話を見終えた感すらある。
竹中さん、このドラマで一番自然な演技。
やっぱ上手いし、魅力ある俳優さんなんだよなぁ。
3話、割と完全にドラマっぽくなり、良い台詞もあったり、2人の仲の悪さの中に其々の未練が見え隠れして、退屈しない程度には楽しめたけど、どうも生真面目なお話を見てる気分が拭えなかった。
ただ、3話を見たあと、ネットで原作の試し読みをして、1話のつまらなさは、最初にドキュメンタリー映像を延々と見せるというやり方をした、このドラマの構成が悪いのでは?とは思った。
ドラマだから、最初の掴みとしてドキュメンタリー映像を流したんだろうけど、当然のことながら、原作は小説なので映像なんかない。
原作小説の始まり方は、ドラマとは違っていて、このドラマなんかより、全然退屈しなかったし、読み進められた。
このドラマは30分枠。せめて40分とか1時間ドラマなら良かったのかもしれないけど、1話丸々ドキュメンタリー映像を流すのは、あまりに凡庸。
ラストの「え?」という映像の効果を狙ったのかもしれないけど、そこに至るまでの退屈さ、つまらなさったら無かった。
これ、ドラマの作り方が悪いんじゃない?と、そう思った。
そして、最新回の4話。
4話でヤラれた!
この話いいかも!と、初めて思った。
このドラマの1話を見て、私同様につまらないと思った人がいたら、どうにか頑張って4話まで見てほしいと思う。
4話、この話を書いたのがゲイの人だと分かって見ると、劇中で出てくる樹の台詞、ゲイの人の本音ではないかと感じる。
そのシーンだけ、ちょっと説明すると、BL漫画を片手に持った樹が、その漫画が好きだと言っていた女性ディレクターに、「人の○ックスで萌えんな」と、冷たく言い放つという場面。
ゲイの人はBL作品があまり好きではない、実際とは違う、あれは女性の為のもの、と前々からあちこちの記事で読んではいたけど、樹の冷たい物言いがそれを物語っていた。
因みに、樹役の寛一郎、いい役者さんだと思う。上手い。
寛一郎は、朝ドラ「ばけばけ」で銀二郎を演じていた人で、佐藤浩市の息子さん。
「ばけばけ」の銀二郎の傷付き易そうな脆い雰囲気も良かったけど、このドラマの樹の演技はもっといい。
鬱屈した表情の上手さは、父親ゆずりかも。
そう言えば、このドラマの伊藤健太郎、若い頃の唐沢寿明に似てると思う。特に目のあたり。目の表情が唐沢寿明によく似てる。
目がくりっとしていて正義のヒーローっぽい唐沢寿明とよく似てる目鼻立ちの伊藤健太郎のキャスティング、樹の斜に構えた鬱屈な雰囲気との対比で選んだのかも、と思ったりも。
4話、前述した樹がキレるシーンの台詞も良かったけど、ドキュメンタリーを撮ってる女性ディレクターと、その先輩女性ディレクターの会話も中々良かった。
3話でも、その先輩ディレクターが、感情にまかせた痛い台詞を言って本音をさらけ出すシーンがあったけど、自分はちょっと痛すぎて、その場面、正視出来なかった。
この話、結構、綺麗事じゃない台詞が出てきて、中々。
ただ、初回があまりにも退屈なのはどうにかならなかったのかな。とは思うけどね。
まぁ、綺麗事は退屈なもの、ということかもしれないけど。
このドラマ、ゲイを描いてはいるけど、決してBLではない。と、それだけは言えます。
5話。
姿を消した樹。
樹という人間にきちんと向き合っていなかった、向き合いたい、と思う女性ディレクター。
樹がインスタにあげた写真を手がかりに、女性ディレクターと助手の男性と共に、樹の足跡を辿りながら樹のことをを振り返る佑馬。
ネカフェで寝泊まりしていた樹と再会し、ドキュメンタリー撮影を兼ねて、樹の誕生日、去年の誕生日にも行った思い出の江ノ島へいく2人。
そこでの2人の会話がとてもいい。
穏やかな感情論ではない会話が続いていく。
私は、こういう感情論ではない振り返りや恋愛話が好きなのだ。
今期、他のドラマでも感じたのだけど、自分がいいなぁと思う台詞、男性作家さんが書いたものが多い。
数々ある恋愛を描いた作品、恋愛は感情的なものというのは重々承知した上で書くけれど、感情論が先走ると、私はついていけなくなってしまう。
感情のほとばしりがあるのが恋愛。
だからこそ、恋愛を感情論で済ませないでほしい。
その感情がどこからくるのかをちゃんと描いてほしい。
そこを描いたり、そこを振り返ったり、そこを考えさせるドラマに私はひかれる。
この5話の樹と佑馬の会話は、まさに ”それ” だった。
自分が女性でありながら、私はあまり女性が好きではないほうなんだけど、女性が苦手な理由がそこにある。
結局感情論。どんな理屈を並べていても、結局は自分の感情の正当化。
勿論、恋愛は、理屈度外視の感情から起こるものだと分かっている。
ただ、その感情を生み出しているのは、その人自身が何を必要としているか、それを必要としてるのは何故なのか、何を人生の問題として生きているか、だと思う。
ドラマを見たあとは、登場人物のことを色々に想像したり分析したりもするけれど、それを劇中でもやってくれてる作品が私は好き。
この話には、それがある。
誰かの為、何かの為のようにしてやってきたことは、全て自分の為、自分の理想の為だったと語る佑馬。
佑馬の理想に近付く為に無理をしてきた、でもその無理も楽しかった、ただもう限界だった、と語る樹。
感情論ではない別れ話。
途中、「自我」という理屈っぽい言葉を使っているのは、男性作家さんが書いた話だからかもしれなくて、ここで「自我」を使うのは、ちょっと唐突な気もしたんだけど、それでも、感情論で話が進んだり、甘く切ない雰囲気を全面に押し出すよりは、この振り返り話には良かったと思う。
伊藤健太郎の話しぶりも表情も、4話までとは違っていた。(変えていた、と言うべきかも)
佑馬が素で話してるという感じだった。
樹の雰囲気も話し方も、4話までとは違っていた。(寛一郎も、演技を変えていた)
ドラマチックでもなく、地味なシーンだけど、本当にいいシーン。
次回、最終回。
2人は本当に別れてしまうんだろうか。
本音で語り合った今からが、本当の始まりのような気もするんだけど。
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