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139
名前無し
ID: gPrP64sReJ 
2021-01-20 22:21:09

■おちょやん異聞7 by星★様

面白いです。
立派な小説になってますよ。自信持ってください。
続き期待してます。

140
名前無し
ID: p93OubbZDC 
2021-01-20 23:11:05

ドラマからインスパイアされた小説を書くスレを立ち上げられたらいかがでしょう?
決して嫌みでいっているわけではありません。

141
名前無し
ID: NkxHfw0PZx 
2021-01-21 05:55:24

自分で、思い通りの朝ドラ作るって、素敵なことだと思います。

142
名前無し
ID: VSNqQclLh3 
2021-01-21 06:47:42

あと一話で、本当に終わってください。

143
芳根杏子
ID: yZRMH7Zelh 
2021-01-21 09:17:51

by星★様
すごくよくできたストーリーだと思います。
真理さんの活躍も楽しみですね。

144
■ただいま作成中 by星★
ID: UumK2Y6IRF 
2021-01-22 15:36:22

 皆さま、「おちょやん異聞」いつも色々とご意見ありがとうございます。「余り面白くないかな」という回にも親切にご意見を寄せて頂き恐縮しています。最終部分を作成中ですが、長くなってしまって、削ったり修正したり、雑文とは言え、私なりに納得した上でと思うとついつい・・
 さて「140」さんの「スレを立ち上げられたらいかがでしょう?」のご意見ありがとうございます。正論かと存じますし、ご配慮の滲む表現に、感謝しております。
  私も色々考えながら進行し、その中で今回のような形を取りましたが、心苦しいとも感じています(立ち上げても、最後まで継続するには困難が大きいかも、等々の心配も)。
  他方、当「こんなドラマ・・・」も、せっかくの良い発想なのに、自分の思いだけで投稿が単発になり勝ちかもと思い、なら、色々なバリエーションがあった方が、にぎやかにもなりお茶の間らしい面白さも生まれるのではないかと、まあ、これは、自分に都合の良い考えで納得しているというところなのですが、そう恐縮しながら投稿しているというところで、ご了解いただければ嬉しく思います。

145
名前無し
ID: y1Bf3op7Q. 
2021-01-22 16:12:17

by星★さん、楽しみに待ってまーす
頑張って下さい!

146
140
ID: I7/SyM/y0b 
2021-01-22 18:40:48

星★ 様
140です。
私の書き込みにご返答有り難うございました。
星★さんのお考え、よくわかりました。

147
■おちょやん異聞8 by星★
ID: 5cK4IIND6o 
2021-01-25 00:03:01

■おちょやん異聞8     ~女優決意編~  
 千代の人生はやっと海原に出た小舟のようだ、曲がりくねった細い川からの船の航路はやっと海原に通じ、爽やな声を上げる鳥が寄り添う。鳥達は羽の風切りを振るわせて飛び盛っている。千代は鳥の心を感じ幸福だと思う、そんな日々である。
  ある日、千代ちゃん、と真理は言う。私の荷物、触ってない?え、触ってないけど。何が見当たらないの?私と母の写真。それなら置き忘れよ。お金は大丈夫なんでしょう?お金はね、・・増えてる気がする。お財布に入れていた写真がなくなって、お金が増えてる気がする。え?しっかりしてよ真理ちゃん。そういって、余りにとりとめもない話に二人供、屈託なく笑い出した。
 「俳優カフェ」には、「監督」の親の七光りで映画関係者もやってきたが、怪しげな人間も多い。のんびり屋の真理にスカウトが二人連れでやってきた。真理を主演に映画を撮ろうというのだ、真理は確かに美しかったが、余りに都会慣れしていないおっとりさに話が進まなかったのか、沙汰止みになったのだろう、すぐに来なくなった。
 直後、刑事達がやってきた。実は、刑事たちは、真理をスカウトに来た二人を詐欺師で追っているといい、最近何か無くなったものがないか、と千代と真理に聴いた。・・実は、私の写真が・・とピントの外れたことを真理が言うのを、千代は呆れながら見ていた。
 とこうする裡に、千代は、急に、監督から推薦され女優の面接を受けることになった。活動写真でなく舞台である。義理半分、興味半分というのが本音で、ただ、人生の可能性を試したかった。
 鮮やかな雨後の晴れの日に山村千鳥一座の座員面接日である。新京極の劇場に出かけると、雑踏は、まめまめしく人が行きかい無害な声で溢れている。

 さて、面接の場に現れた千鳥は、あの日、街角で会った、「栗子」だった。最初、驚いたが、真近に相対峙すると別人とわかるのだが、蜃気楼の様な逃げ水の不思議がある。どこかに蜃気楼の反映の元になる事実がある筈だが、それがどこからの乱反射かわからない・・・。
 そう思う間もなく、面接での、千鳥の言葉遣いの傲慢さ、ヒステリックさに驚いた。面接の後は舞台に立ってセリフを読むのだが、紙を渡し「さっさとお読みなさい」「やるの、やらないの」と舞扇を膝に打って乱暴な言いざまである。
 千代は、あきれて、少しからかってみたくなった。それで、セリフを抑揚なく素人そのままに棒読みした。すると「酷すぎる」と聞えよがしな傲慢な声が聞こえた。その傲慢さは、また「栗子」を連想させた。・・さて、面接はそれで終わり、千代はあっけにとられたが、帰って、監督に採用はされないだろうと報告した。
 
 虫は幼虫である間、日常はあっても運命と呼べるものはないだろう。だがある日、我知らず蝶に形を変える時になって、運命を感じ、そうしてあの葉をそしゃくした日常も運命の一部だったと知るのかもしれない。
 面接からニ三日すると、放物線が弧を描いて地に落ちるように、ある考えが千代に落ちてきた。あの栗子と千鳥を「似ている」と感じた事についてである。それは、あの二人が、かって美しく「憧れられた」女達で、しかし今は、その「美」は衰え「憧れられる事も無」い、という事である、その投げやりな退廃、倦怠、そして傲慢さ、そんな雰囲気が「似ている」と千代は感じたのだ。ただ、その「衰え」に、千鳥は芸にしがみつき、怒鳴り、他方、栗子はしがみつくものすら失く、人や運命におもねり、テルヲの様なろくでなしと暮らしを選択したのだろう。
 「千鳥」と言う反面教師に会い「栗子」への嫌悪を思い起こし、千代はこの二人のように敗北したくないと思った。今まで自分を翻弄したした過酷なもの、自分がずっと「運命」と呼ぶことを恐れていたものを、今「運命」と呼び、それに勝ちたい、と思う。その運命の新たな顔が真理の前で宣言した「女優」というものだと思った。ただ、「女優」になるにしてもヒステリックな千鳥にも、家庭を不幸にした栗子の様にもなりたくない、とも思う。自分は、運命に勝って、失った「家族の寄り添う団欒」を取り戻したい。そうして、後日、劇団に加わる時、千代は「茶の間に親しまれる」女優、お母ちゃんのように月の様な優しく美しい女優になりたい、と思う様になったのである。

 しかし、そんな意識的な考えとは別に、千代が女優になりたいと思うのには、無意識で単純で、もっと強烈な「もう一つの理由」があった。・・俳優への希望が千代にのしかかってくると、一平の顔が思い浮かぶのである。千代は一平のあのいつもの、意地の悪い言い方を思い出した。一平も今頃、自分を思っているだろうか、あれから一平は自分のことを何度思い出してくれたろう?自分の女優になりたい、という気持ちを聞いたら、どんなに意地の悪いことを言うのだろう。ああ、そんな言葉でも良いから聞いてみたい・・。
 そうして、女優になりたい、という希求の根っこにある一平の影に、千代は、自分自身、気づかないふりをした。・・・ただ、そんな日の夢で千代は一平に再会し、幸福な少女になった。

 そういう日頃を過ごしながら、千鳥の採用試験は不合格に決まっているが、惜しいことをしたかもしれないと思いだしていた。

148
■おちょやん異聞9 by星★
ID: 5cK4IIND6o 
2021-01-25 00:11:07

■おちょやん異聞9     ~千代と真理~
 ある日、千代が朝食を取っていると、山村千鳥一座に合格した、と、監督が小鉢の花に小さなジョロで水をやりながら新聞を読むような声で千代に告げた。
 あんな面接で?そう思ったが、概して試験の結果は、本人の思惑とは別の結果になるものかもしれない。さっそく出かけてゆくと、劇団員は気の毒そうに色々と劇団のこまごまとしたことを話してくれた。まあ、テイの良い雑用係である。千代は大阪で多くの芸人を見てきた。弟子入りはそういうもんだと思っている。かえって気が軽くなった。

 そうして、千代がカフェに帰ってきた時、そこに刑事が来ており、真理から一緒に警察に来て欲しいと言われ、驚いた。刑事の話はこうである。
 二人のスカウトが詐欺師だった事は述べたとおりだが、そこには別の首謀者がいた。それは意外にも、二人の部屋の掃除をしたり、真理と楽しく話をしていた家政婦のあの年老いた三田である。
 父が嫌で家出した時に、秘密で母がまとまったお金を真理に渡していた。それに気づいた三田は、あたしが探りをいれ、それから手引きしてあげると、子分二人に言ったそうである。ただ、その後、三田は、色々と口実をつけグズグズし、挙句、二人の前から姿を消した。二人は三田が金を持ち逃げしたと思い、京都から逃げるように列車で出ようとした三田を見つけ、持ち逃げしたものを要求した。ただ、三田は真理の写真しか持っていなかった。どこに隠した?とケンカ口論になった所を、警察に通報され、京都駅近くの警察で取り調べを受けていたのである。

 三田は心変わりしたのだ。それについて、最初、何もしゃべろうとしなかったが、やっと話したことは、真理の荷物を探っている内に、母親と真理の一緒に映った写真を見て、その子供の頃の真理の服の柄が、死んだ子の為に自分が選んだ服の柄と同じだったったらしい。・・・若いころ火事で夫と子供を失くし、その後は、世間に背を向け、恨み、その悲しみに耐えられず、気を紛らす事、お金になる事なら何でも良いと思うようになっていた。ただ、写真を見た時、その愛した子供の服の記憶がすべてを引き戻た。三田は、服の感触を知りたくて写真の上を指でなぞってもみた。そうして、ただの、悲しい母親に戻ったのである。私の、子供、私のアカリ・・アカリとは娘の名前だそうだが・・そう言ってまた黙り込んだそうである。ただ、真理の財布に少しだけお金をしのばせたことは刑事たちには決して話さなかった。内緒で子供にお小遣いをあげる優しい母になりたかったのかもしれない。

 警察の殺風景な建物の入り口には、やけに長い廊下があり、その窓際に小鉢があり赤い花が咲いている。その花の名前は不明だが、一年草、の何かだと思われる。一年草とは、一年の内に、芽を吹き、花をつけ、実を結び、しぼみ、短い命を足早に過ごしてしまう。・・・花を見つめ、誰からも聞かれてもないのに、真理は答えるような口調で言った。
 ただね、花粉はどこかに運ばれているんだって。そこでまた、次の年に知らない場所で花を咲かせるのね・・。この前、監督がそう言っていた。監督は、以前、花の様子をフィルムにした事がある。

 千代と真理が来たのを知って、三田はふて腐れた顔をした。人は心の動揺を隠す時に、よくそんな顔をする。よく見ると、化粧をしていないと、タダの小さな老いた女だった。目の縁が少し紅いのがのぞき見られ、千代はそれは涙の跡と思った。その涙が、この不幸な女の目から流れた赤い花粉の様な気がした。しばらくして、真理は、母の写真を返して欲しくて、お母さん、お母さんの・・、とつぶやいた。
 すると三田の下を向いた顔が急に突っ伏して声を出して肩を震わせて泣きだした。真理は「私と話す時も、いつもそんな悲しい思いをこらえていたの・・」と呟き、悲しくて切なげな顔で近づき、その母の肩を抱いて、二人して泣きじゃくった。

 千代と真理は、それぞれの形で傷つきながら、滞(なず)みながら、また笑顔になりながら、女優を目指してゆくのである。
  <「女優になります」:完>

149
名前無し
ID: 0tY75XjKAX 
2021-01-25 05:59:16

147■おちょやん異聞8 by星★さん
148■おちょやん異聞9 by星★さん

すごい!おもしろくて、一気読みしました。
「おちょやん」に似てるけど…ちょっと、そこに違うものを感じました。
物語が終わってしまったのが、もったいないような感じがします。

150
芳根杏子
ID: tDMwTOTfPJ 
2021-01-25 08:37:00

by星★さん
素晴らしいですね!
読んでいてワクワクします。
できれば、まだ続けてほしいです。

151
名前無し
ID: jyzFdmXBC2 
2021-01-25 21:07:06

by星さん
人物の細かい描写もあり、素晴らしいと思いますよ。
「おちょやん」が土台となっていますが、立派な小説になっていると思います。

152
■感謝とお礼と by星★
ID: 2Eioyn.zKO 
2021-01-26 23:24:09

 「149」様、「芳根杏子」様、「151」様
 どうも「おちょやん異聞」に声を寄せて頂いて有難うございます。結局は、私的な趣味の文章と思いつつも、「おもしろくて」「読んでいてワクワク」「人物の細かい描写」等、書いていただくと、言葉半分としてもとても嬉しいです。
 一旦、気持ちとしては終わりにしたのですが、さて、困ったことに、(特に真理の話が)フンギリがつかず、書き切れなかった感が残ってしまいました。もし、それが形になるなら、どの程度の物語かはわかりませんが、また投稿するかもしれない、出来ないかもしれない、という気持ちです(-_-;)。・・・少し朝礼暮改的曖昧さで恥ずかしいのですが、
 (以前書いた様に、今の朝ドラの「山村千鳥一座の舞台」「活動写真の撮影エピ」等の展開はアレンジしようがないという気持ちはそのままなのですが・・・)
 また、そんな「おちょやん異聞」的なものとはガラリと変えて別に「こんなドラマあったらいいな」を投稿できれば面白いかな、とも考えています。

153
夏菜子
ID: tovb8aO7H4 
2021-01-26 23:28:20

by星★さん
また、楽しい投稿お待ちしています。

154
■右京さんは取扱い注意by星★
ID: 8uTaqDWtbz 
2021-02-08 02:19:37

 「相棒」と「奥さまは取り扱い注意」コラボ企画。(私は、「相棒」も「奥様は・・」も真面目な視聴者ではないが、以前、時々、「相棒」を見ると面白かったのに、最近の相棒は可なりマンネリで残念に思う。ならば、コメディ風ドラマとのコラボが「こんなドラマあったら・・」面白いのではというのが考えの趣旨。
 ただ、考えていると、以下のような物語が思い浮かんだ。下らない悪乗りだが、思いついたら書き留めたくなる。時間のある方のみ「ご笑読」いただければ幸いですが(>_<)・・・。

CAST 杉下右京(水谷豊)、冠城亘(反町隆史)、日野警部補:スナイパー(寺島進)。
    伊佐山菜美(綾瀬はるか)、伊佐山勇輝(西島秀俊)

 1)右京撃たれる 右京は、ビルの屋上で狙撃され重傷を負う。集中治療室。一命は
         とりとめたものの、予断を許さない状況。面会謝絶。
 2)日野警部補  が、特命係の部屋で冠城(カブラギ)に会う、これは、何かの
         警告で、現場の正面のビルから狙撃されたのでは、と言う。
 3)謎の女登場  冠城は、そのビルを調査。そこに主婦が来る(伊佐山菜美)。
         その物腰、目つきからただの主婦ではない。
 4)公安の夫婦  冠城は悟られないように写真を撮った。それの写真を見て
         日野は黙込む。翌日、日野から連絡、あれは公安警察官の妻との事
 5)二重スパイ  冠城と日野は公安に行き状況を説明。伊佐山は取り調べられる。
         以前から、妻が二重スパイではないか、という疑惑があった。
 6)黙込む伊佐山 黙り込む伊佐山。けど、伊佐山勇輝は、どうしても妻の潔白
         を証明しきれない(いつもの夫婦喧嘩が始まる)。
 7)冠城と伊佐山 が菜美の後を追う。冠城と伊佐山は隠れている。某国スパイ団の前で、
         菜美「私が右京を撃った」と公言。聞いて苦悩する伊佐山。 
 8)妻を愛している伊佐山 は、確認の為、再度、冠城と一緒に妻の後を追う。
 9)ビルで囚われる二人。 菜美が入った部屋の廊下で隠れていると、鉄の格子で囲まれ
             二人は取らえられる。
 10)菜美が言う 「さ、これでご希望の警視庁と公安もそろったわ。」。すると
        某国のボスが姿を現し「君も良い芝居だった」と菜美加え三人捕らえられる。
        すると急に右京が現れ、「集中治療室から駆け付けました」と、
        右手でピストルの形を作りボスを狙う。ボスは足をおさえ倒れた。
 大団円)SAT隊員 が一斉にあらわれる。伊佐山夫妻も大活劇で、結局、某国スパイ
         たちは一網打尽。ボスの足を窓を通して撃った日野警部補も登場。

 元々、右京が狙撃されたのは、日野と組んだ芝居だった。右京は最近、不穏な雰囲気を感じ、日野に相談。右京がオトリになってスパイを誘い出す事にする。
 右京が撃たれればスパイ団が表れると思った訳だが、狙撃事件を聞きつけ不審に思った伊佐山菜美が現れた。右京は集中治療室でのんびりしていたが、菜美の事を日野から聞き、
 接触してみると、菜美「スパイではない、ただ組織の当てがある」という。菜美、右京、日野がチームを組む。菜美が狙撃したと嘘を言いスパイに接近。
 併せて「公安と警視庁の人質」をエサにする。
 SATを配備し、窓の外からは日野が室内を狙う中、スパイ団に接触し、何も知らない冠城と伊佐山をオトリに仕立て上げた。そうして、スパイ団トップが姿を現した。
 菜美が捕まったのは計算外だったが、隠れていた右京が姿を現し、日野にサインをおくる。同時にSATも乱入。ボスを含めスパイ団は捕まった。
 冠城は右京に文句を言おうと思ったが、そこで伊佐山夫婦の夫婦喧嘩が始まったので、二人でいさかいをやめて逃げるように帰って行った。私には夫婦は謎ですね、と言って。

155
■おちょやん異聞10 by星★
ID: 8uTaqDWtbz 
2021-02-08 02:26:16

■おちょやん異聞10    ~宇野真理のこと1(憧憬)~
 宇野真理と竹井千代は二人で眠る時に一日のことを語る。京都に来てからのこの習慣は大部屋の道頓堀でもなかったことで、千代にはとても素敵に思われた。
 その眠気にまどろみ、やがて二人は寝入ってしまう。その後、道頓堀に帰って、千代は眠りに入る時間が来ると、隣に真理が居ないのを寂しがりながら真理の事を思い出した。
             
 真理は子供の頃、二つの世界に住んでいた。地球儀に似た心の世界、天球技に似た外の世界。海も山も、太陽も星座も、天文学的関数に自分の感情を代入して回転している。
 子供の真理は、父と母の間で手をつなぎ両親に顔を向ける。すると体は浮遊し、宙に浮いたり足先が地に着いたり、その曖昧な浮力の感覚が好きだった。少し大きくなって遊園地でブランコをこぐ時、体が地球の表面で弧を描いて上下する浮力で足を延ばせば、天球技の内側の空気を蹴上げるようだ。
 自分の体の軌跡が地球儀や天球技の弧の一部に触れるようなその「至福」は、真理のふんわりとした「のんびり屋」の感覚に反映しているかもしれない。両親の掌に篭絡(ろうらく)される浮遊感の幸せが、ずっと掌に残っている。
 仲の良い親子で、ちょっと「別れる」時も、両親は真理の目の高さにあわせて膝を折って座り、「ね、ニギニギしよう」と掌を広げたり握ったりした。六つの掌がニギニギし「バイバイ」するのである。
 父が事故で死んだのは四歳の終わりの時だった。だから、四歳と五歳で真理の記憶にはぎごちない断層がある。真理が五歳の時、母が再婚した。
 経済的な理由からだったが、これは母に真理への後ろめたさを抱かせた。逆に、娘は自分の存在で母が肩身の狭い思いをしていないかと気遣った。
二人はお互いの心配を知られないように生きていたが、真理は、自分の「何も知らない」ぼんやりとした様子が母を安心させていると信じている。
 
 新しく父となった男は、男の連れ子があった。両親とも連れ子同士だったのである。新しい家庭での、真理の心の隙間を埋めたのは新しい父でなく、この新しい兄である。
 真理はこの背が高くて痩せギスの、初めての兄が大好きで、その後を追って遊びにいった。真理は兄と手をつないで公園に遊びに行くのが好きだった。
 ただこの兄は微笑みながらも時々煩わしく冷たい表情で真理と母を見る時がある。この家庭には二つの領域があった。男同士、女同士。あたかも動物園と植物園のように別の生き物の世界が。
 この頃、真理は自分の好きな事ばかりを考えていた。。私お兄ちゃんのお嫁さんになる。そう言って、真理は兄に結婚を申し込む手紙を書いた。
 イイナズケという言葉をどこからか仕入れてきて、兄のイイナズケだと嬉しそうに言った。

 お祭りの夜店での話である。真理は小さなかわいいヒヨコを買ってもらった。家で鳥かごにヒヨコを入れて飼っていると、兄はそれはカナリアだと真理に教えた。
 ヒヨコは大きくなって、外で放し飼いになり、爬虫類のような不気味な目で周りを睥睨(へいげい)した。真理は長い間、それをカナリアだと思っていた。
 この兄は、嘘をつくのが好きだとやがて母は気づいた。人が自分の嘘を信じ、真実と嘘のほころびで、とまどう姿を見るのが好きなのである。
 真理の兄への行為は、本当の心だったのだろうか?それは兄が何も知らない真理に吹き込んだニセの花のように感じる、「結婚」も「イイナズケ」も。
 小さい女の子は約束をすることが嬉しかった。しかし、この兄は約束を破ることに優越感を覚え嬉しいのだ。

 親戚が真理ちゃんはお兄ちゃんと結婚するの?と戯れに聞いたことがある。真理は嬉しそうな顔をしたが、兄は不満そうに、結婚?兄妹で結婚できるわけがない、と冷たく言った。
 真理は「何故?」という冷たい感覚が体じゅうを襲ったのを覚えている。それが兄の温度だった。自分が冷たい嘘の歯車に組み込まれているように感じた。

 この時以来、真理は、優しく嘘をつかないイイナズケが欲しいと思った。

156
■おちょやん異聞11 by星★
ID: X0IJ9X9TwU 
2021-02-10 00:32:51

■おちょやん異聞11     ~宇野真理のこと2(出会い)~
 思いもよらない折折に、この子は嘘をついているのだろうかと母は思う。真理の事である。
 家庭での男たちの言葉は最初だけまばゆく思えても、やがて軽薄に人を傷つける。傷つけられても真理はもう「何故?」と心の中で呟かない。ただ、体のどこかはその傷の痛みを覚えている。ちょうど、手折られた花の痛みのように。そうして、手折られ花は花瓶で質素に輝き笑顔で人を慰める。その笑顔は嘘と言い切れるのかとも母は思う。それは一時、母を慰さめ、やがて母は切なくなる。・・そういえば母は、再婚以降、真理の泣いたところを見たことがないのに気付いた。
 兄は真理を子ども扱いし相変わらず嘘をつき、真理がもう騙されなくなったのがわかると、真理は素直じゃなくなった、と言うのだった。

 といって、真理は暗い少女ではなく、むしろ明るく利発で、そして性格が穏やか過ぎるのは相変わらずだった。真理のあだ名はアントワネットだったが、歴史の時間にマリーアントワネットという王妃の少し現実感の乏しいエピソードが紹介された時からである。同時に真理の目鼻立ちが日本人離れして整っていたのも原因して、大人びて見えた。よく男からも女からさえも好きだと言われたが、真理はどうして良いかわからず、「おっとり」と微笑んだ。・・・後年、京都で「おちょやん」の竹井千代が好きにならずにいられなかった微笑である。

 子供が活動写真に行くのは父兄同伴が原則だった。稀に学校から指定された映画なら複数の子供達で行くことは許された。教育的、子供用娯楽映画である。
 真理に好意を寄せる男の子が、他の子も来るからと映画に誘った。駅前に食堂街があり、映画館があった。雑踏には人さらいがいそうな気がしたが普通の商店街である。暗い映画館の館内は冒険談のようだった。男の子は真理の隣に座ったが、何も言いだせず、帰りには他の子と遊んでいた。真理は活動写真に夢中になった。
その時にもらった広告チラシの女優に憧れた。自分が「夢」を持つことは似合わないと思い込んでいたので、この「夢」は後ろめたかった。一緒に映画に行った中の、ヒデオという年長の男の子が真理を好きになった。彼の初恋だった。彼は声をかけたいと思ったが、急に弱気になってしまう。ただ、恋心は腹ばいになった夏の砂浜のように少年の胸を焼いた。

 学校の帰り道、ヒデオの心は転覆した船のように彷徨っている様だ。
 声をかけたのは真理である。真理は人の顔の覚えが良く、活動写真館の記憶が旧知の仲のような錯覚を起こさせたのだ。少し打ち解け、ヒデオは母の自慢をした。私も、と真理も言った。母の事を人に語ったのは初めてでとても嬉しかった。
 やがて、短い道すがらを二人は心待ちにし、少し遠回りするようになり、遠くの地平線が何かの予感を秘めているように感じるようになった。
 ヒデオは、横暴な父への不満を話し、母がかわいそうだとも言った。僕は役立たずなんだ、と小さな声で言う。真理は年上のヒデオを弟の様にいとおしく感じ、守ってあげたい、と思った。 
 二人はお互いの出会いを偶然の奇蹟のようにも、必然の運命の様にも思う様になった。静かな狂おしさ、二人だけの静かな舞踏会・・・。小さな田舎のことで、噂になるのは嫌だったが、新鮮な現実と用心深い空想の敷居がよくわからない。母はどう考えるだろうという事すら真理は思い至らない。

 心が通い始めると、二人の授業の終わる時間の「すれちがい」が真理を苦しめたが、待つという事に真理は大人びた誇りを感じたりもした。当初、思いもしなかった事だがヒデオが学校を卒業する頃には、真理は寂しくてたまらなくなった。
 
 ヒデオが卒業する時期、ほとんどの子が地元で就職するか家の仕事を継ぐのだが、優秀なヒデオは少し遠くの街の工場の事務員として雇われた。富山にはこの頃、いくばくかの工業地帯が広がりつつある。
 真理は離れることを寂しがった。汽車に乗ればすぐ会えるのに。車窓からは果樹園が見える。逢瀬はその果実のように酸っぱく甘かった。
 そうこうして過ごす内に、今度は、真理が卒業する時期になった。卒業祝いは何が良い?というヒデオに真理は真剣な顔をして、イイナズケ、になって欲しいと言ってヒデオを驚かせた。
 その頃には、その言葉の意味することもわかっていた。

157
■奥さまは吸血鬼 by星★
ID: dO54/BaEmQ 
2021-02-13 14:54:42

 以下の雑文は「書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の・・・」のアレンジです。書いた経緯は、私(by星★)が、このドラマのレビューで
(02-07 18:14:56)「奥さんが吸血鬼で、子供たちがゾンビで、この家庭では旦那だけがそれを知らない「人間」で(略)ツルツル君は奥さんに横恋慕する妖怪人間で・・・そんなことを(仮に)考えてしまう」と書いたところ
(02-09 11:00:45)「それ、書いてください」との投稿があり、それに、
(02-09 22:43:44)「悪乗り・悪趣味で掌編を書いてみるのも一興」と調子に乗って書いたばかりに、具体的物語のアイデアのないところで無理にひねり出した雑文ということになります。

■奥さまは吸血鬼
 朝、7時77分、流行小説家、吉丸奈美は朝食とトマトジュースを飲んだ。今日は新鮮なB型血液が入っている。奈美は吸血鬼だが夫には秘密である。愛しているのでこの秘密は後ろめたい。
 学校ではゾンビごっこが流行っている。奈美の子供たちは本物のゾンビだが、秘密にしている。この秘密には自分は本物だという誇らしさがある。
 吉丸圭佑は自分がペットとして飼われているようなものだということを知らない。圭佑の食事には、造血剤とプロテイン(タンパク質)がたっぷりと入っている。
奈美は夫にハグされながら、こっそりと首筋から血を吸うのに幸せを感じていた。

 圭佑は最近、大きな脚本の仕事が入ったが「書けない」で焦っていた。しかも妙なツルツル頭の男が出てくる。これも流行作家の悩みかと思い、心理コンサルタントに相談した。
すると、ツルツル君は圭佑自身のストレスの作り出した幻影だと言う。「それは貴方自身です」という。「君は僕だ、僕は君を受け入れる」と言えば消えるらしい。
次に出てきた時に「君は僕だ」というと、ツルツル君は「そうだ俺は君だ。だからこの家にいる権利がある」といって、部屋に居座るようになった。逆効果だ。
それからはツルツル君がいるのでますます書けない。
 思い余って「書けないこと」を妻に相談するとベストセラー作家の妻がアドバイスをくれた。その通り書くと、第1稿はあっさり決定稿になった。会議ではロケの打ち合わせなどが進む。圭佑は取り残された感がした。

 ある日、「パパ、あの人だあれ」と妻が言う。ツルツル君が圭佑の部屋に居座りっているのがバレたらしい。しかも窓辺にたたずみ奈美に笑顔を向けてくるという。
 「パパ、あの人だあれ?」と今度は子供たちが言いだした。「君たち大人しいね、まるで死んでるみたいだね」っていってるらしい。
「あれは僕の心理的ストレスの幻影らしい」というと、「その幻影が私たちにも見える訳?」という。それは確かに、妙だ。

 ツルツル君が家にいるので、妻はストレスが嵩じ、トマトジュースが、血液90%の赤ワインに変わり、酒におぼれ始める。子供たちは、顔色が死人みたいに顔色が蒼く夜の街を徘徊しだした。
 そんな家庭のいざこざ、とツルツル君の居座りで圭佑はノイローゼ寸前。
 ツルツル君は、実は妖怪人間で、心理コンサルタントは、この妖怪人間とグルなのだ。ツルツル君は人間界での居場所を探していて、そこにやってきた圭佑に「あなたの分身だ」とコンサルタントが嘘を言い、居座わるように仕向けたのだ。ツルツル君は圭佑の分身でも何でもない。
 居心地の良いツルツル君は、あわよくば旦那がいなくなればパパとして住み込めるかもと、ますます圭佑の描けないことをナジりだし、そして、妻・奈美と子供達には、一転してゴマをすりだした。

 そうすると、頼りない圭佑よりツルツル君の方が頼りがいがあるように見えたのか、ある日、圭佑が帰ると、妻と子供とツルツル君と家族の様に談笑している。恐らく、正常な判断を失くした家族は、人間より、口の上手い妖怪人間に親しみを感じ出したのかもしれない。
 ベランダに何か大きな箱が置いてあるのを見ると、圭佑の名前の書いてる棺桶だった。「どういうことだ?」というと、もうすぐ来るハロウインの余興だという。
ますます取り残された圭佑は楽しそうな家族から離れ、その夜、棺桶で、すねたように眠ってしまった。

 さて、ハロウィンの当日、妻は吸血鬼になり、子供たちはゾンビになった。そうしてもう主人気取りのツルツル君は笑いながら圭佑の名前の入った棺桶に入ってみた。
すると、急に吸血鬼は恐ろし気な表情に豹変、合図を送るとゾンビの子供達は素早く棺桶のふたを閉め、銀の釘で蓋を閉じ固定してしまった。ツルツル君はただこの家に「寄生」しようとしただけなのを見透かされていたのである。
そうして、棺桶は吸血鬼である妻の知り合いの、妖怪専用の葬儀屋により葬られたのである。
 その後、圭佑は、造血剤とプロテインで体力を取り戻し、脚本はほぼ妻が代筆して、楽しい家族生活を送るのだった。・・が、これって圭佑もパラサイト(寄生)しているようなものなのだが・・・
                   以 上

158
夏菜子
ID: eOz2xw2cGu 
2021-02-13 15:51:15

by星さん
メチャメチャ面白いです!
goodでーす

159
名前無し
ID: lCGfcb2FYj 
2021-02-13 16:29:22

☆星様☆
02-09 11:00:45)「それ、書いてください」と投稿した者です。
早速応えていただき、有り難うございます。
楽しく面白く拝読させていただきました。
ツルツルの顛末がブラック(×_×)でしたが、圭佑氏は家族に受け入れられ、☆星様☆の描く世界でも幸せな結末だったのが、良かったです。

そして、このサイトの存在を私は初めて知りました。
興味深いサイトです。
しかも、☆星様☆は何度もご投稿なさっているご様子。
時間はかかっても、☆星様☆の作品は必ず全部読み終えます。今後、☆星様☆とお呼びする者がおりましたら、おそらく私です。(お星様とお呼びしようかと思ったのですが、違う意味にもなりそうで)
それが、安易に「それ、書いてください」と投稿した者のすべきことかと。
誠意を感じる御対応、本当に有り難うございました。

160
名前無し
ID: lCGfcb2FYj 
2021-02-13 19:07:09

☆星様☆作品拝見しました。
おちょやん関係⁉️が多いのですね。
私は数回しか見ていないので、比較できないのですが、
岡安にいる時にテルヲに売り飛ばされそうになった顛末は見ていまして。本編は女将が話しをつけたけど、
☆星様☆のアイデアはヤクザを出し抜く感じがスカッとして良かったです。
スゴいです。

レビュー投稿の長文は飛ばしてしまうことの多い私ですが、
これから☆星様☆の投稿は、熟読させていただきます。

161
名前無し
ID: dz2mprwdjr 
2021-02-13 23:06:28

by星★さん、また素敵な物語をありがとう。

162
■おちょやん異聞16 by星★
ID: i.cX3qTD4l 
2021-05-13 00:48:27

    最終放送週にあたり、記憶に残ったエピを、「こんなドラマ、あったら・・」と、
    書いてみたもの(12~15は都合により欠番)。

■おちょやん異聞16  万太郎と千之助
 ある午後、千之助は、「万太郎の死とその最後の舞台」を評価した新聞の一片を持って道頓堀の芝居小屋の横の川岸に降りた。万太郎の死から七日後である。その小さな新聞の紙片は、掌の大きさの折り紙の船に折られている。

 夜になって、その船を川に浮かべ、「兄やん」と呟いた。折からの雨である。千之助は二つ傘を持っていて、自分の傘以外の傘は、腕を伸ばし、その船の上にかざした。
 雨で早くなった川の流れとは別に、岸に沿った流れは緩慢で、千之助も遅々と進む船に沿って傘をかざしたまま、少し歩いた。
 新聞紙の船はやがて水がしみて沈んでゆくが、不思議なことに、千之助にはタイトルの「万太郎」の文字が新聞紙から離れ、道頓堀の流れにのって大阪湾の方に流れてゆくように見えた。
万太郎の文字が川の流れに浮いて見えたのは、千之助が泣いていたからである。
「兄やん、メリケンに行きや、そして喜劇王チャップリンに会うて来いや・・」


 万太郎は、子供の頃、気が小さく泣き虫な少年だった。多感であり、傷つきやすかった。
 万太郎の兄弟には二人の男がいて、万太郎は長男であるが、母も父もその長男の泣き虫ぶりに呆れた。愛されない少年は、身を守るすべとして、口達者になった。それは、両親への恨み言から始まり、長じて誰をも否定し嘲笑できる武器になった。
 かって遠い国、遠い時代の神話の英雄イカロスを絵本で知った。
この神話の少年は、ロウの翼で太陽に向かって飛翔したものの、ロウが太陽の熱で溶け失墜する。自分は、言葉という翼をもったイカロスで、言葉という溶けない翼をつけた、失墜しないイカロスだと万太郎は信じた。

 万太郎の弟は、太陽に向かう兄の飛翔を信じた人間である。この弟は「兄やん」といって万太郎を慕っていたが、若くして喉の腫瘍で死んだ。
 ヒリヒリとのどの渇き痛みを訴え、最後、兄やん、兄やん、とかすれた声で連呼しながら死んだのである。
 両親からも愛された弟はあっけなく死に、誰からも愛されない万太郎は生き残った。「笑える悲劇と笑えぬ喜劇」という万太郎の口癖は、この弟を憐れみ、弟と自分の運命の皮肉を思っての自虐の言葉だった。

 万太郎は、やがて、弟のいない田舎を捨て、喜劇一座を作り、そして、そこで自分を慕う才気あふれる千之助を見出した。千之助は万太郎を「兄のように」思い、最初は、万太郎も弟のように思っていた。
 さて、万太郎は、自分を「言葉で作った翼」をもつイカロスだと思っていたが、ある時、千之助は「本物の翼」をもっているのではないかと訝(いぶか)った。
 ある舞台中、地震があった。観客は浮足立った。すると、千之助は、空を飛んでいるのに地震を恐れる小心な鳥を、必死で羽ばたく真似をして表現した。その地震を恐れる滑稽な鳥に客席は笑いころげ、面白がって自分たちも鳥のように羽ばたく真似をした。
 万太郎が恐れを抱いたのは、千之助は客と一緒に劇場ごと大きな笑いの渦を作るからである。それに比して万太郎の笑いは孤高であり、人と和することはない。
 万太郎は千之助を嫉妬し厭わしく思い、理由も言わず千之助を破門した。一座の英雄は自分一人で良いのだ。道頓堀の笑いの帝王は自分なのだ。
 切り捨てられた千之助は酒におぼれたが、天海天海一座に拾われた。それを聞いて万太郎は千之助を飼い殺しにしておくべきだった、と後悔したが、しかし、天海という若き天才は早世してしまった。
 万太郎は自分の強運を感じた。そして、千之助はつくずく運の無い、落日のような男だと思った。その後、千之助は家庭劇というところでクスぶっているように思われほとんど忘れていた。

163
■おちょやん異聞17 by星★
ID: i.cX3qTD4l 
2021-05-13 00:56:57

■おちょやん異聞17  精霊流し
 万太郎が「のど」の異変に気付いたのはその名声の絶頂の時である。喉元がヒリヒリとし、そこから声は切り取られ、舞台の表現が崩れてゆく。
 万太郎は、言葉を失ったイカロスになったのである。そうして、その時、再度現れた千之助は自分に復讐するつもりかと思い、おびえた。その顔はかっての泣き虫な子供だった。
 しかし 千之助は「兄」の病気の事を知って駆けつけたのである。そんな情をすら万太郎は理解できないぐらい傲慢になっていたのである。千之助は本気で怒ってまくし立てた「何やってんだ兄やん、あの万太郎程の男が、こんな大変な時に!」
 二人は、かって言葉のいらぬくらいの仲である。千之助は、万太郎の手振りと仕草だけで、その心が読めた。
「笑える悲劇と笑えぬ喜劇」・・・自分は笑えぬ喜劇を演じてきたのかもしれない、それは笑える悲劇であったかもしれない、と自分の人生を万太郎は顧(かえり)みたが、それは自虐ではない。今は、笑いの帝王と呼ばれた頃より幸せだった。万太郎は死んでゆく自分を必死に助けようとする千之助に、小さな頃の弟を見たのである。

 万太郎の引退興行は、千之助のまき起こす笑いと、万太郎の無言劇のような厳粛な雰囲気が「笑える喜劇と悲しみの悲劇」の織り成す稀有な人生ドラマを作り出し、大成功だった。

 既に死期を悟った万太郎は病院のベッドの上にいた。傍らで、千之助は「兄やん」と悲痛な声を絞り出した。兄やん、兄やん・・・。
 万太郎は意識が混濁し、過去と現在がないまぜになり、弟が迎えにきて声をかけてきたのだと思った。
・・・「兄やん」やっとまた会えたね。嬉しいよ。そうか、待っててくれたのか。兄やんこっちだよ、これからは一緒に行こう・・・万太郎は満面の笑顔で死んだ。

 死ぬ前日である。万太郎は言葉の出ない口で「千之助、感謝している」と言った。
 千之助は、「どうした、万太郎。弱気でもう今にも死にそうやないか?あの傲慢な万太郎が」と叱ったが、その言葉は悲しさで震えていた。それをを嬉しそうに見て、・・・お願いだ。この舞台の新聞記事を道頓堀に流して欲しい、そう千之助に託したのである。

 その日は雲の流れが速い様に感じる一日でやがて向こうの雨雲から雨が降るだろうと思われた。そんな川岸に千之助は半日もうずくまって、やがて夜の闇が千之助を取り巻いた。その掌の中で、切り取られた新聞記事は小さな四角い船に折られていた。
 千之助は傘を二つもってきた。一つは万太郎、一つは自分の為で、かって雨の日には、千之助はよくそうしたのである。
 糸雨(しう)の中で紙の船を浮かべ、一つの傘の影で船を雨からかくまった。
「もう、やせ我慢せずにな。風邪ひくなよ」そして、待ってろよ、待っててくれよ。・・一人になった子供のような、弱弱しい声で言った。  
 千之助は夢と現実の間で体が浮遊するように感じたが、自分は万太郎の船に乗って揺れているのだとも思った。
 異国では焼いた骨の粉を海に流すということを読んだことがある。文字は遺骨の粉のように流れ浮いてゆくのかもしれない。それは一人の劇団員から聞いた死者を送る精霊流しという弔いのようなものかもしれない。

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164
■おちょやん異聞18 by星★
ID: DyfU7OXsNw 
2021-05-14 02:32:54

■おちょやん異聞18  ヨシヲ
 万太郎の死後、鶴亀新喜劇の旗揚げ興行がまじかに迫っていた。
 千之助は既に「お家はんと直どん」という台本を書き上げた。
それはいがみ合っていた古い世代がやっと和解しながらも時代の表舞台から去ってゆき、新しく若い世代が育ってゆく様を男女の恋愛に託して描いたものである。そしてそれは、「戦後」という世相を背景にしたものだった。

 実は、先日、寛治が満州から無事に帰ってきてのだが、喜んだのおつかのま、満州でたまたま知り合ったヨシヲの死を知らされたのである。
それから、「新しい世代、新しい時代」というものが千代にはよくわからなくなった。
・・・ヨシヲが死に、寛治は生き残ったが、「新しい世代」とは、ヨシヲや寛治にとってどうかかわり、どういう意味があるのだろう?

 稽古に来て、新しい舞台の祝いに花籠がテーブルの上にのっているのに千代は気付いた。明日はもう、新作の初舞台である。
 稽古場の横の食堂の心安い子が、お茶をもってくる。
 その湯気が湯飲みの縁の唇をくすぐる。暖かさを感じながら、その食堂の子が言った言葉を千代は反芻していた。

 「綺麗なお花ですね、何か話しかけたそうな・・・朝はいつもそう感じるんです」
  花は孤独な心に語り掛けるという話を千代も聞いたことがある。ぼんやりと千代は誰かの声を聴いた・・・それは弟のヨシヲの声のような気がした。
 「あの花籠贈ったのは俺やで。」そう、ヨシヲの声が言った。それは嘘であることは千代にはすぐわかる。ヨシヲは簡単な花の名前すら知らない弟だった
 「・・そないな嘘、・・けどな、私、この間、面白い夢見たん。お父ちゃんがな、花籠もってくるねん。・・千代、ほんと、すまんかったな、って」
 「そらないわ、」「そうなんやけど、・・・・けど、とってもうれしゅうてな・・花なんて似合わん人のに、わざわざ現れてくれただけで」
「ほんと、得やな。ふだん悪く思われてる人間が稀に良い事をすると・・」

 そんなヨシヲの思いが去来するせいか、千代は最近舞台稽古に身が入らない。ちらちらと寛治の顔にヨシヲの表情が浮かんで消える。寛治がヨシヲの死のことを語ったあの日以来である。
ヨシヲは、女性の身代わりに銃弾を浴びて死んだのだという。そうして自分のことを姉に知らせて欲しいというのが最後の望みだったという話だった。

165
■おちょやん異聞19 by星★
ID: DyfU7OXsNw 
2021-05-14 02:38:40

■おちょやん異聞19  千代
 舞台初日、まだ時間がある。千代はぼんやりと腰掛けていた。稽古の時から時間が空くと部屋の裾に千代は腰掛け、ヨシヲの姿が現れるのではないかと考え待っているのが習慣になっている。
 そして、窓の外からのぞく懐かしい子供の幻があった。しかし稽古場に笑顔であらわれたのは青年になったヨシヲだった。

 ヨシヲは、穏やかな表情で言った。
「俺のことを思ってぼんやりしてるの?俺のことがそんなに大事だったの?それは意味のないことだと思う。俺は、この通り人間のクズだから」
「人を助けて自分の命を失くすなんて、・・・そんなこと。あんたらしくなくて・・最後まで何やの。何やってんの・・」
「姉やん、褒めてくれよ。俺、人助けしたんだぜ。身を挺してってやつさ。クズが消えて、可愛い少女が生き残ったんだぜ。出来すぎだろう?お釣りがくるぐらいさ」
「何で行方をくらまして、満州に行くなんて」「儲け話があったんでね、それにヤクザ稼業も肩身が狭くてね、色々と」
 千代はヨシオの眼を見ることはできない。そうして、悔しくて天を向いて、腹立たしさで思い切り憎まれ口をきかないと気が済まない。
「そうよね・・・。あんたみたいなクズなら、・・クズにしちゃ・・。」
それだけ悪口を言っても、ヨシヲの笑っている表情ばかりが浮かぶ。「けど、クズでも・・・生きていれば・・また、会えたのに」
「また姉やん、そんなこと。こんなふうに会ってるじゃないか。褒めてくれよ、花向けだと思って」
「死んだ弟の花向けなんて、誰が何を言えるの?・・バカにして・・本当に何言ってんのよ、姉ちゃんの知らないうちに勝手な事ばかり・・・、勝手にヤクザになって、勝手に満州に行って、勝手に死んでしまって。まるであのテルヲみたいに死んでしまって・・姉ちゃんは・・情けない。」
そう言って、千代は急にヨシヲが消えたように感じて慌てて「こっちに来て!お願いだから。」と言った。
 「会えるのを、ずっと、ずっと、ずっと待ってたのに、これからもまたずっと待つなんて・・きっと、もうすぐ一緒だと・・」
「姉やん、ちゃんと俺を見てくれよ、嫌な奴を見るみたいにでもいいからさ、いつものように俺を見て怒ってくれよ。」
 「けど姉やんは、悲しい時にも怒るんで、本当に怒っているのか、悲しんでるのか、どっちがどっちかわからねえ。ひょっとすると、こんな俺でも、弟が死んで悲しんでくれてるの?ねえ、姉やん。」

 「・・・何でもないけど・・。ただ、とても幸せだったの知ってた?。子供の頃、二人で、竹やぶで遊んだことを覚えてる?」
 「いいや、忘れた」
 「いつもかくれんぼ、して。あんた勝手にどこかに行ってしまって。本当にくやしかった。忘れてるんなら、あの時間、かえしてんか」
 ヨシヲは言いよどむように言った。「あの時間は・・・返せへん。・・・姉やん・・・悪いけど・・・いまがすべてなんや」
 ヨシヲは言葉を継いで「そして?今度は本当のかくれんぼ・・・、姉やんは、いつも鬼」
 千代は泣きそうな人がするような笑顔をつくった「うん、怖い、怖い、鬼・・・」
 「・・・姉やんは、小さい事を覚えてるんだな。あいにくオレは何も覚えてないんだ。オヤジと栗子の憎たらしいことぐらいしか」 その時、ヨシヲが花籠をしみじみと見たような気がした。

 千代はヨシヲの記憶にあるその二人に嫉妬を感じていた。人は嫌なことは覚えているのに、私との事なんか、やすやすと忘れてしまう、・・・本当に、悪い人間は、得だ・・。」
 そうして、ひょっとすると、自分も誰かの何か大事なこと大な人をを忘れているのかもしれない、と思った。・・・

 さ、姉やん。幕が開くぜ。それを楽しみに来たんだ。姉やんにとって一番大切なものだろう?・・・俺の次に・・・。
 あんたが一番大切なもの。そしてその次に芝居、・・・今回は、だからあんたに見てもらうため・・千代は訳もなく独り言を言った。
 ヨシヲは、「そうだな、俺は天井桟敷にでもいてるさかい。」といって消えてしまった。

 舞台では、千代は客席に自分を熱心に見つめてくれる視線を感じながら役を演じていた。
 舞台が終わり、先ほどの椅子のところに花籠がおいてある。ご苦労さん、お疲れだったわね。やっと帰ってきんだねヨシヲ、と思った。千代は自分でもよくはわからないが、ともかくも、何かが終わり何かが始まったように思ったのである。
                      

166
名前無し
ID: ZrJExfVHYF 
2021-05-15 05:31:23

なんかぁ、ミニ小説書くスレみたいになってますが、普通に こんなドラマ、あったらいいなでコメント書いてもいいでしょうか?

そろそろ「AI」に脚本書いてもらう。
ついでに出演者もCGで。でもアニメじゃないよ。生身の俳優はスキャンダルや病気で降板するでしょう。病は仕方ないとして、スキャンダルでドラマや映画がお蔵入りになるのは、製作側はもう、懲りごりじゃないの?

もう、監督がひとりいれば、ドラマ創れる時代が来たんじゃないのかな?

167
名前無し
ID: XBe5CgTTNW 
2021-05-15 09:06:56

by星★さん、あったかいお話、ありがとうございます(^.^)

168
■ほっとhot・・ by星★
ID: EZjQtS4POK 
2021-05-15 20:06:32

2021-05-15 09:06:56 NO167様
 有難うございます。反応がありほっとしました。
 (顔文字の笑顔がとてもうれしいです)。

2021-05-15 05:31:23 NO166様
 私の投稿が、投稿しがたい印象を与えたり、ということが少しでもあれば、心苦しく存じますが、「お茶の間」は色々な考え、色々な表現が可能な自由な場だというのが持ち味かなと考え、「こんなドラマあったら・・」の1パターンとして試させていただいています(通常の「こんなドラマあったら・・」も投稿しているのですが・・)。
 私の投稿以前は投稿数がほとんどなく、勢い私の投稿が目立ってしまうのは、心苦しい、ということになりますが・・多くの個性的な投稿・ご意見があればと思っています。

169
■参考:AIの物語 by星★
ID: EZjQtS4POK 
2021-05-15 20:42:45

2021-05-15 05:31:23 NO166様
 「AI」での物語創作について私も興味があるのでテレビの2つのバラエディーショーで特集した分を参考に少し紹介させてもらいます(ご存じかもしれませんが)。
 現在のAIにより「消える職業」ではないとも思うので、関係者ももっと大胆に「AI」を活用すれば、良いのに、・・独創的・創造的になる面も多いのではと思うのですが、・・
 (「監督が一人いれば・・」という発想には、冨田勲さんの音楽を想ったりします)

■手塚治虫さん風の「パイドン」という、AIで作成したマンガについてです。
 (「TEZUKA2020」プロジェクト 栗原聡教授(慶應義塾大学理工学部教授)指導、手塚治虫さんのご子息、手塚眞氏が協力。)
------------------------------------------
「ビーパップハイヒール」(2020年3月26日の最終回で「パイドン」を紹介)
  ・「AI」でプロットを自動作成し作り込めば「手塚治虫」的物語を無尽蔵に作り出せる、という肯定的なスタンスの番組でした。
   (また、お笑いの「ギャグ」などを参考に、こういう創作に疑問の声も上がっていましたが)
------------------------------------------
「1億人の大質問!笑ってコラえて」(2020年4月29日&8月5日で紹介)。

(4月29日:キャラの画像作成)
(「気まぐれ人工知能プロジェクト」でAIでレンブラント等の絵画を描いた例がある事など紹介した上で)
 ・キャラクターの絵(顔)は、複数のコンピュータでチェック・付け合わせ(実際の人間の顔写真も参照)することで作成可能と紹介。
 
(8月5日:物語作成)
 ・プロットは、金子満「シナリオライティングの黄金則」で提唱した13の展開を参照したとのこと(まず、ここで手塚の物語を分析したわけでないので私はガッカリ)。
 しかもその展開に手塚マンガを分析し当てはめる作業をした手塚プロの方は、とても大変だった、と評価。
 その分析を元に「自動シナリオ生成システム」を作成し2000の展開を作り、それで、AIがプロットを自動作成。
 しかし、突拍子もない単語が多数表示され、しかもAIはそのどれが面白いのか判断できないため、それを手塚眞氏が選択。
 その選択を元にAIがキーワード等の並びを作ったのを、さらに手塚眞氏が具体的事例を考案し発展させた。
   ・・・・・・・・・
   <例>キーワード:問題に立ち向かうー>姉妹への父親探しに主人公が協力を決める 
      属性:   役者      ー>主人公が姉妹の父親に変装する
    (この「左」のキーワードや属性から、「右」の具体案を考案したとの事だが・・・
     もう、AI作というより手塚眞氏作と私は感じてしまう)
    ・・・・・・・・
後は、、人間が作画する(マンガ制作と同じ)。

その作業での評価で栗原聡教授が番組で語っていた評価は、
    ●人間「9」:AI「1」の割合で創造(1より少ないかもしれない、との事)

この評を受けて、もっと創造的な部門でAIが活躍しているものは他にないか、ということで番組は俳句など17文字、文字だけなので対応しやすいのではないか、とのことで北海道大学の川村秀憲教授の「AI一茶くん」を取材
 (1秒間に400をつくり、番組取材では、1億以上つくった、と紹介。なお、たくさん作っても、玉石混合で、良い俳句を選ぶのはむつかしく、人間が必要。)
 そうして、例えば「かなしみの 片手ひらいて 渡り鳥」というAIの作った句などは「プロの俳人vsAI」で人間をおさえベスト俳句に選ばれたとのこと。
(私は「白鳥はかなしからずや、空の青、海の青にも、染まず漂う」という若山牧水短歌を、思い出しました・・・)


「ビーパップハイヒール」を見て、私も大いに期待したのですが、「1億人の大質問!笑ってコラえて」を見て、今の状況ではかなり難しいと思っています。その分、人間の才能の偉大さというものも感じます。
 「パイドン」は私もPCで読みました。手塚治虫的で「普通に面白い」のですが、私が感動する手塚治虫的な奇想天外なラストの「考えもしなかった意外性」は感じられません。
 CGなど色々な技術の進化は侮れないと思いますし、創造サポートでも活用できればとも思いながら、人間の創造性の尊厳に期待したいような、という気持ちもあります。

170
■鉄の旋律リメイク by星★
ID: PUOLCfLMtv 
2021-05-27 00:00:40

 先日、クローズアップ現代(5/25)は「脳科学と機械」を結ぶ研究で新たな能力開発の最前線を紹介していた。
 具体的に紹介されていた事例は、脳卒中で腕の指が動かなくなった人で、脳波を受信する機械を腕に装着し訓練することで指を動かすという能力開発の話だった。
 「脳の働きの強化」という研究テーマらしいが、発展形として、さらに、「機械の腕」をも動かす研究も進んでいるらしい。

 これって手塚治虫の「鉄の旋律」に極めて似ている、とびっくりしてしまった。
 -------------------------------------------------------------
 「鉄の旋律」という物語は、マフィアにより手を奪われた男が、ある研究家の理論化したサイコキネシス(念力で物を動かく能力)の訓練で、鉄の義手を操るようになり復讐を進めてゆくのだが、最後は大どんでん返しが待っているという物語だった。
---------------------------------------------------------------
 クロ現をみて、この「鉄の旋律」は、現代科学で肉付けしてリメイク(ドラマ化)ができるな、と思った。サイコキネシスって、脳科学やコンピュータ技術で、現代風に考える要素があると思う。
 この手塚の「鉄の旋律」は、サスペンス風、ホラー風な味付けもある物語で、ドラマ化も作り方によって色々と面白い作り方ができるのではないか、と思う。
 (これって、手塚治虫の作品のベースの論理的な組み立てがしかかりしている為かと思うが、フアンとしては「時代がやっと追いついた」感がありとても楽しい)
 

171
名前無し
ID: EKTXdB796T 
2021-09-10 02:43:05

ネット掲示板での憂さ晴らしが生き甲斐の人を主人公にしたドラマ。
2時間ドラマじゃなく、連ドラがいい。
その人物をじっくりと掘り下げて、何故そうした行動にハマるのかを視聴者が考えてしまうようなドラマがいいな。
NHKのよるドラ枠で、『ここは今から倫理です』のペコパ枠みたいなものを連動させるのも面白そうだけど、テレ東の深夜枠あたりでサスペンス作品仕立てにしても面白いかも。
当事者の人も、ドラマとして客観的に見てみたり、そのドラマについての感想なんかを読んでたら、自分のやってることの虚しさに気付くんじゃないだろうか。

でも、そのドラマ、最終回をどうもってくるかが難しい。
救いのあるラストにするのか、全く救いのないラストにするのか。
救いがあるラストなら、NHKのよるドラ向き?
でも、それじゃありきたりの中学生日記みたいでつまんないんだよなぁ。
例えば、今放送中の「ただ離婚しないだけ」のような、ずるずると深い闇に落ちていくような展開になっていって、最後も救いがないラストにしたら、案外、話題になる面白いドラマになるような気もする。

172
■パロディまみれドラマby星★
ID: HcD6BBbof7 
2021-11-12 12:01:59

 今、NHK朝ドラの「カムカムエブリボディ」を楽しんでいて、それを見ていて、つい他のドラマを連想した。例えば
 --------------------------------------
 「自転車練習」・・・・・・「義母と娘のブルース」
 「活動写真」シーン・・・・「エール」「おちょやん」
 などなどの(無論、パロディの訳ないかア~、と思いつつも)連想を楽しんでいた。
--------------------------------------
 それに関連して思うのだが、色々なドラマのパロディを集めたドラマというのはどうだろう。俳優さんも絡めたパロディドラマは面白いのではないか、と思う。

 例えば、「相棒」の右京さんが「緊急取調室」に出てきて推理してかき回したり、逆に、水谷豊さんが別の役で取り調べを受けてみたり、
 或いは、同じ役でも別の俳優さんが演じるとか、例えば、米倉涼子さんが杉下右京子になって「私、失敗しないので」の推理を繰り広げる(相棒は岸部一徳さん)、とか、なにしろパロディまみれでニヤッとしてしまうドラマ。
 また、刑事ドラマの中で、別の恋愛ドラマが展開したり、また、スピンオフ風に地味な役だった人が別のドラマで大活躍したり等々面白いと思う。

 各放送局を越えてというのは特に難しいのだろうが、逆にドラマ全体の機運を揚げる為にそういう冒険をしてみるのも「未曾有」の刺激になるのでは、と思う。まあ、同一の放送局なら少し垣根も低くなるかもしれないし、それでも面白いと思う。

 なお、最重要なポイントは(「LIFE」のようなパロディのコメディではなく)
あくまで「パロディを織り込んだシリアスドラマ」としてだけど。

173
■カムカム・・・補遺by星★
ID: xF.R4/lPkd 
2022-04-11 02:23:37

 最終週の火曜日の安子の告白に感動したが、それ以外は、辻褄合わせみたいで少しガッカリ。土曜の総集編は、安子の告白を中心で素晴らしかったと思う。
 そのガッカリした時に自分なりの短い補遺を作ってみた。これは当ドラマの私の見方が最も出るので、「こんなドラマあったらいいな」の趣旨で投稿させて頂く事にした。
---■カムカムエヴリバディ・私的補遺----
 運命が、後戻りできない知らない所まで自分を連れ去ってくれればどんない良いだろう、と安子は思った。その癖、この気持ちの場所にいつまでもとどまりたいとも思う。
 安子は、アメリカで、寂しい時があると死んだ稔宛ての英語の手紙を何度も書いては破って捨てた。ルイにも書いた、それも破って捨てた。・・・自分のことは、自分が一番知らない、自分の気持ちに嘘をつき続ける内に、安子は、自分の心を表すあの歌を歌えなくなっていた。安子は、楽器を弾けなくなったミュージシャンのように嘆息した。
 ルイはどこにいるんだろう?と、そう思った。どうしてもルイを探したかった。けど、意外なことから手がかりを得て以来、今度は会わない口実ばかりを探している気弱な自分がいた。
 安子はずっと、稔と会いたかった、死んだと知っていても、それなのに、安子は、ルイをあきらめようと、心の中でルイを死んだ人のように思おうとしたが、やはり出来なかった。
 そんなことをあらためて思いながら、今、安子は大阪から岡山への新幹線の中だ。車窓に映る昼の月が爪の様に淡い。その日、岡山にルイの思い出があり、その町まで行きさえすれば、ルイを諦められるような気がしたのである。嘘の方が何倍もつらいのに、嘘を信じたかった。

 ・・・岡山駅に着いた。もう、降りないといけない・・・。安子は、若い、あの時の様に、また、泣いて列車から降りた。駅のホームのベンチに座り、泣いていると、ざわざわと故郷のなまりが耳に優しい風の様だ。
 「そんな小せえカバンに、今まで、どんだけの苦労を詰め込んで生きてきたん?まだ泣くつもりなん?」という声を聴いた気がした。それは、自分の悲しい嘘を優しくとがめてくれるヒナタの声だった。
 何故、ヒナタがここに居るの?と顔を上げても、誰もいなかった。・・・あの時は、この駅に着いた時、稔さんがいた・・・。ひょっとしてあの声をかけてくれた稔さんは幻で、あの時からずっと私はここで泣いたままで・・・それから私はずっと長い夢を見ていたのではないか。ルイも、ヒナタも幻で、実際はいない人のような気がした。
 岡山駅を出ると、父親が青年の手を怒ったようにひいて誰かのところにつれて行こうとしているのが見えた、と、そんな気がした。「ほら、あの人がお前の忘れられなかった人じゃ」そう言ってくれる父親の様な運命が、今の私の手を引いてくれたら、・・・ああ、どんなに良いだろう・・・。
 もう、自分が知っているのは昔のことばかりで、駅の周辺も変わっている。と、ヒナタからもらったチケットのクリスマス・ジャズフェスティバルのポスターが貼ってあるのを安子はぎごちなく見た。
 アメリカにいってからはジャズは避けていたのである。サニーサイドの歌を本当に久しぶりに思い出した。今、懐かしくサニーサイドとささやく歌詞が耳に響いた、それは語り掛ける様な懐かしい声だった。それはルイの声の幻だった。そういえば、ルイとヒナタの唇の形は良く似ている。この土地でルイの歌声を聞くのは心地よかった。ああ、来てよかったと思った。かけがえのない良い思い出が出来たように感じたのである。
 ポスターのバンドには大月という名前がある。ヒナタから、父がミュージシャンだと伝え聞いていた。ただ、ルイはそこに来るかどうかという事はまるで思い至らなかった。
「暗闇でしか聞こえぬ歌がある」という言葉が胸をよぎった。サニーサイドとささやく歌は、安子にとって長い間、そんな悲しい「聞こえぬ歌」になっていた。
 帰り道をたどる人の様に、安子は知らぬうちにティケットのホールまで来ていた。それは記憶の中で逃げ水のように浮かんで消える「あの場所」だった。茫然としている安子の背中の方でヒナタの声が、「おばあちゃん」と叫んだ。ああ、また、幻の声がする。そんな訳はないと思い込んでいるのに耳を掌でふさいだ、そして、駆けた。振り向きもせず、小走りにかけた。そうすると思い出を振り払らえると思った。
 安子は経験から、思い出が自分を苦しめることを知っている。だから、反射的に逃げたのだ。だが、ヒナタの若い脚は安子に追いついた。まるで、若い頃の思い出の様に。
色々な偶然の不幸が重なった街だった、幸福なことも多かった筈なのに、今では安子の記憶には不幸だけが堆積して、深い深い海の底の難破船のような街にも思えた。
 「戻ってきて欲しいの。違うのよ、きっと誤解が・・」
 それは、ヒナタの言葉だったが、「あの時」ルイに叫んだ自分の言葉も同じものだった。ルイは?ルイは?
 「おかあさん、お母さんは私を裏切ったんだもの、報いを受けて当然なの。もう愛は終わり」・・・ルイはそういうに違いない。
 ルイはそういうに違いないのに、それなのに、何故、ヒナタは私を呼び止め、ここに連れてきたのだろう。安子は力ない透明のため息をついた。
 ヒナタはこの小さくて愛しい祖母をホールの小部屋につれてきた。

 安子の道は、帰り道のようなもので、ただそれは、どこに行きつくか不安につつまれた帰り道だった。子供の頃、夕暮れの帰り道は、いつも、別の怖い家に行き着くように感じた。
ルイと逆の道、それが私の「帰り道」なのだ、とぼんやりと考えた。安子は拒否されていると信じている。それ以外の事を考え、期待する事が怖いからである。

 ルイの方も、拒否されたと思っていた。「あの時」自分が会うことを拒んだのに・・・実は、「あの時」以来、安子から拒まれているという意識だけが残っていた。
 ルイは、今では、多くの愛に囲まれて生きてきたが、それでも心の底で、今でも一人ぼっちなのだと思うし、そして今日も、あのドアが開いて、また、ひとりぼっちになるのだろう、と思った。
多くのかけがえのないものが愛してくれるのに、たった一つの自分のかけがえのないものが愛してくれなかった。たった一つのカギが開かない為に、自分の心の中心に入れない。
その、心の空白の部分がどうしても埋まらない。後悔とは、そういうじれったい空白のことで、最近、ルイは、その心の空白が後悔だと知ったのである。
たった、その一つの空白の為に、愛に囲まれているのに、ルイはずっと孤独だったことを今更ながらかみしめていた。
 人には、人を許す権利はないのだ、と思う。もし有るとすれば、許される権利だけかもしれないと、この不運な母と不幸な娘は同じ様に思っていた。
 舞台のルイのあの歌声が遠くに、現実のものとして聞こえていた。それが終わり、戸惑う様な足音がホールの隅の小部屋の前まで来た。
 そうして、ドアの開く音がして、母と娘は顔を見つめあい、お互いの優しい涙を見て、ずっと許してくれていたのだと知り、母は娘に、娘は母に長い間、微笑んだ。

174
名前無し
ID: aJqKZUl5GD 
2022-06-13 02:32:57

演技力のある俳優さん女優さんによる、生放送の即興芝居。
前に、山本耕史が出ていた「抱かれたい12人の女たち」という脚本無しの即興恋愛ドラマがあったけど、 あれは収録したドラマだった。
ドラマというよりバラエティよりの番組になるのかもしれないけれど、 生放送で即興芝居が見られたら面白いと思った。

175
名前無し
ID: sIUEbMBsyA 
2023-06-08 21:17:42

ドラマ仕立てのCMが増えてるけれど、ドラマ部分だけをまとめて一本にして放送してくれる枠があると嬉しい。
そしたら録画とかして楽しめる。

176
名前無し
ID: sIUEbMBsyA 
2023-06-08 21:33:24

その枠は毎回、そのCM制作をしたスポンサーが提供すればいい。
スポンサーにとっても悪い話ではないと思うけど?

177
名前無し
ID: tGq10v6rJ. 
2023-12-28 23:53:09

闇だらけの○塚のストーリー
京都の○○も色々有りそう。
まあ闇を暴くのが改善の一歩なら良いが、
逆になってしまったらダメですね。

178
名前無し
ID: LF8zRi8di6 
2023-12-29 00:28:19

「褒めるひと褒められるひと」の別バージョンで
「絡むひと 絡まれるひと」

179
名前無し
ID: jgC7g.es8A 
2023-12-31 14:44:44

塾の宣伝が余り好きじゃないです。
例えば、○○中学1位、○○中学3位、○○中学5位6位みたいな
これ親を煽る宣伝ですよね
勉強苦手な子が生きずらいからこそ、
少子化増えてるのにさあ、
責めて不登校の子どもに勉強教えますみたいな
宣伝してる方が信頼出来ますし、少子化改善
されて行く気がします。
ドラマも色々な人を容認出来る流れって必要と
思います。

180
名前無し
ID: N1npeOsc8v 
2024-02-24 12:32:44

匿名掲示板を運営する人を主人公にしたドラマ。
匿名掲示板を管理する人達にきちんと取材をした上でストーリーを作り、ドラマ化してほしい。
SNSの誹謗中傷問題、各種掲示板の荒らし問題、運営する側からの目線で描いたドラマが見たい。
利用者側目線での話はよく目にするけれど、運営する側目線からの話は表立って語られることが少ない。
運営する側のスタンスも様々だろうし、掲示板経営での利益の話も盛り込み、ネットに書き込むことがバカらしくなるような、SNSや掲示板利用の依存度を低くするような展開だと、手間暇かけて作る意味はあると思うけれど。

181
名前無し
ID: euOFNUZ0.l 
2024-02-24 17:24:47

スタ○みたいな接客の良さを強みにしている企業が
生き残るドラマをお願いします。
接客の良さ、お皿の綺麗さ、
値段は高いが此処にお金を使うのは嫌じゃない。
現代の人々が求めているものが此処には有ります。

182
名前無し
ID: mjdf469RbJ 
2024-03-22 13:11:05

団塊世代が青春時代に帰るドラマが見たい。
60〜70年代に

183
名前無し
ID: zihe/tL8WZ 
2024-03-25 17:56:26

離婚は女には危険みたいなドラマをお願いします
芸能人は好感度が上がりますが、
普通の人達はえらいめに遭います。
友人も離婚をやめさせて今は幸せみたいな話は
よく聞くよ。
簡単に離婚薦める人とは縁を切るべきです。

184
名前無し
ID: Mbp2BS912G 
2024-03-30 22:48:10

学校の口コミについて
ダメな書き込みされると火消しな学校はヤバいでしょう
色んな口コミの嘘と本当が見極めるコツが分かるドラマを
良い面ばかりの口コミは本当に怪しいと
思いますので宜しくお願いします🙇⤵️

185
名前無し
ID: 2ggh7JrXNQ 
2024-04-12 08:13:01

どろどろドラマ嫌いです。
視聴率とかネットニュースがうるさいわ。
ネットニュースは日本人の民度を低くしたいだけ。
あちらの国の人だらけですから。

186
名前無し
ID: 5kJP.smFOI 
2024-04-12 08:40:15

他スレに、昔のモノクロ作品の中に名作があると書いてあるのを読んで、ふと思った。
今の技術では、モノクロ映像に色をつけることが出来る。
NHKで時々、昔の市井の映像に色を付けて放送するミニ番組をやっている。

昔のモノクロ作品に色を付けて放送してくれたら、どんなに生き生きとした映像になるだろうかと。
往年の名俳優達、美しいと評判になっていた女優達、着物や洋服、街の風景や家の中。

資料はいくらでもあるだろうから、色をつけてカラー映像にして放送することは出来ないんだろうか。

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188
名前無し
ID: NlpKgOeY.2 
2024-04-24 13:12:46

オレオレ詐欺もさることながら、知り合いからの電話や親切に話を聞いてくれる人の電話かと思ってつい電話に出てしまう高齢者に「不用品買取」でもズカズカ訪問や「高額健康食品」の送り付けにつながる電話を取ることはないように注意喚起するドラマが欲しい。
ネットに弱い高齢者は人の声が聴ける電話での販売には警戒が薄い。
老後の資金をなくすだけではなく、「だまされた」からだれにも相談できない心理に付け込む不親切極まりない販売方法は高齢者の心と体を蝕んでいると思う。
もっと取り締まられるべき。
円安も問題だけど、ちりも積もれば高額になる詐欺的販売がとりしまれないならおちおち暮らせない。
勧善懲悪ドラマは消えた今儲けてる人間が正義になっているように思う。どんな手口で儲ければ善か。
そんなことないはずだ。
若い人たちの未来は結局高齢者。
高齢者がこんなに不安でおどおど暮らす日本に風穴開け、平和を呼び戻すドラマをお願いしたい。



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