ピンボケの家族

2020-03-05 14:32:06

名前無し

大きな事件が起きるわけでもない。
急逝した祖母の遺影が（集合写真からの引き伸ばしのため）ピンボケだったことで、主人公（泉澤祐希）がつてを頼りに祖母の写真を探す。言ってみればただそれだけの内容。

しかし、そこにはかつて精密機械の産地として栄えた諏訪の歴史と、支え続けた人々、デジカメ全盛の時代にあっても機械式カメラの修理を引き受けてくれる職人、写真にまつわる思い出、懐かしい笑顔、街の記憶がしっかりと描かれている。
祖母がはっきり写った写真はなくとも、語られる祖母の思い出話。
まるでドキュメンタリーのような（ほぼアドリブだと思う）街の人々との会話。
そしてたまたま出合った女子高生（南沙良）から聞かされた両親の離婚話。
全てが地に足の付いた、目の高さの世界。

最後の家族写真が笑顔だったのも土地柄なんだろうな。